藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

渉外弁護士やってます。

 こんにちは(こんばんは)、藤本一郎です。

 早いもので、新しい法律事務所を立ち上げて3ヶ月が経過しようとしています。
 もちろん仲間がいるものの、まだ弁護士6名の事務所ですから、今まで弁護士60名前後の事務所にいた頃の状況と比べると、色々と違いがあります。

 一番違うなと思うのは、依頼者「以外」から見た時の視線でしょうか。従前の私も知ってくださっている依頼者は、もちろん不安もあるのでしょうけれども、今までと同じような視線で私と接してくださっているように感じます。しかし、例えば民事再生案件で債権者と接してみたりすると、これは依頼者以外の関係者ということになるのですが、弁護士法人創知法律事務所、なんて知らない!ということで、不安がられてしまったりすることがあるように感じます。これはまあ、1つずつ、実績を積み重ねていくことで、解消していくしか仕方がないですよね。

 他方、4月以後、前職時代には出張したことがなかった国に、既に3ヶ国も業務上の出張で訪問しました。また、今まで受けたことがなかった渉外業務も新たに受けたりもしています。なんちゅうか、渉外弁護士としてのフィールドは、寧ろ大きく広がってきていると感じます。全て依頼者のおかげではあるのですが、ありがたいことです。そのせいもあり、前職時代よりも忙しいのではないか、という過ごし方をしています。

 前職時代、自分の力なのか、事務所の力なのか分からず仕事をしてきた気がします。なんちゅうか、手応えがよく分かりませんでした。今は、まだ事務所に知名度も信頼も築けていませんので、自分の力で事務所に知名度や信頼が培われていくよう、頑張っています。その手応えは、悪いものではないと感じます。楽しく、一生懸命やりますので、引き続き応援を宜しくお願いします。

理系出身法科大学院生向けの奨学金の募集について


 私も理事を務めさせて頂いている一般財団法人中辻創智社では、今般あらたに、理系出身法科大学院生向けの奨学金制度を創設し、募集を開始しております。7月17日締め切りです。

 http://nakatsuji-ff.org/programs/programs2/programs2-1/

 中辻創智社は、社会と次世代を担う若者を支援することを目的として、京都大学名誉教授の中辻憲夫先生が私財をもって設立された財団です。中辻先生は、京都大学の物質細胞統合システム拠点(iCeMs)の初代拠点長として、物質(Materials)と細胞(Cells)の融合という大変難しい課題を達成するため尽力されましたが、京都大学の退職後は、ベンチャー支援、NPO支援等の事業をされる一方で、自ら財団を設立されて、様々な活動をされており、私も、いち理事として、中辻先生の活動をサポートしております。

 財団として様々な活動をしていますが、その活動の1つに、理系出身法科大学院生をサポートする目的での奨学金事業が加わりました。現在、法曹志願者が法学部卒にかなり偏っていますが、優秀な法曹を輩出するという観点からは、その母体が偏るというのは大いに問題です(法曹需要者から見た視点)。他方、理系の学問を修得し様々な能力を身につけた者の進路に限りがあるという問題もあり、そのキャリアの1つとして、法曹という選択肢は、メインコースではないものの、有力な転身先としてあり得ると考えています(理系人材の進路という視点)。中辻創智社では、約1年の議論を経て、理系出身者の法科大学院進学をチアする必要性が大きいと判断し、このような制度の創設となりました。


 大きな財団ではなく、財団の奨学金の規模としては月3万円という小さなサポートですので、これのみによって進学の不安を解消することにはならないかもしれません。しかし、法科大学院教育にかかわる私も関与しましたので、全額返還不要、卒業までではなく司法試験受験の5月までのサポートをする等、様々な点において、利用者の視点に立った制度になったのではないかと自負しております。


 よく「弁護士は食えない」報道を目にしますが、いち法曹としての実感は全く逆です。確かに、弁護士だって色々いるので、食えない人もいるかもしれません。しかし、弁護士に求められているものが多様化している中で、時代と情報についていけるかどうか、ついていける方はすごく必要とされており、そういった方を増やす必要があると感じています。世の中が多様化し、弁護士をはじめとした法曹に求められている能力も多様化しているのですから、法学部卒ではない方、特に理系出身の優秀な方にも、もっとこの法曹の世界を考えて欲しいと思っています。

事務所開きと現状について

 ごくごく一部の方にはご案内をしておりますが、弁護士法人創知法律事務所の「お披露目会」を下記日程で開催する予定ですので、もしも所属弁護士にご縁のある方で、ご都合がつく方は、「ふらり」と事務所にお立ち寄り頂けますと幸いです(なお、軽食を用意しております。)。

(東京オフィスお披露目会)
平成29年6月16日(金)午後2時30分〜7時30分
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目4番1号新国際ビル8階 
弁護士法人創知法律事務所 東京オフィス
TEL 03-6268-0962 FAX 03-6268-0963
(最寄駅)JR山手線等「有楽町」駅より徒歩2分
     東京メトロ有楽町線「有楽町」駅地下直結

(大阪オフィスお披露目会)
平成29年6月30日(金)午後2時30分〜7時30分
〒541-0041 大阪市中央区北浜1丁目9番15号EM北浜ビル5階
弁護士法人創知法律事務所 大阪オフィス
TEL 06-4708-3260 FAX 06-4708-3280
(最寄駅)京阪本線「北浜」駅28番出口エレベータより徒歩1分
     地下鉄「北浜」駅徒歩2分、「淀屋橋」駅徒歩7分

*札幌オフィスでのお披露目会は予定しておりません。

 なお、大阪弁護士会の「レターケース」には案内出していません。


 とても嬉しいことではありますが、現在当法人はおかげ様で業務に恵まれており、「仕事がないうちにゆっくり色々準備でもするか」という当初の考えは完全な妄想に終わり、私個人も、出張で中国関係のみならず、イギリスやらポーランドやらロシアに行ったり、間近に行く予定があるなど、慌ただしくしております。こういう状況のため、なかなか皆様ひとり一人にご挨拶ができず、上記のような略儀な挨拶となりますことお許し下さい。

 また、弁護士法人創知法律事務所のHP(http://www.ci-lpc.com)はいまだ仮ページのままですが、少しずつ下準備を進めております。皆様になるべく早くお披露目できるように頑張ります。

 その他、弁護士(特にいま戦力となる、志の高い方)も募集しておりますので、もしご興味があればお尋ね下さい。

弁護士法人創知法律事務所を設立しました。


 私藤本一郎は、2017年3月31日付で弁護士法人淀屋橋・山上合同を退社し、新たに他の弁護士と共に、弁護士5名で、弁護士法人創知法律事務所の設立し、私自身は代表弁護士に就任します(登記上は4月3日付で就任しました。)。

 まだ何もないHPですが、アドレスは、http://www.ci-lpc.comとなります。どうぞよろしくお願いします。


 オフィスは3箇所、東京・有楽町の新国際ビル、大阪・北浜の証券取引所のすぐ南側のビル(EM北浜ビル)、札幌の裁判所付近のビル(大通コニサービル)です。企業法務を扱う事務所が最初から札幌のオフィスを構えるのは珍しいと思いますが、これもご縁です。何か面白いことをしてやる、という私の思いから、札幌で仲間を見つけることができ、一緒にやろうということになりました。


 すいません、東京・大阪のオフィスはまだ内装も未了で、電話も番号は決まっていますが開通していません。4月17日頃にはこれも終わり、正常な業務ができるのはもしかしたらゴールデンウィーク明けになるかもしれませんが、そのあたりはお許し下さい。


 淀屋橋・山上の退所は、私にとって苦渋の決断でした。私は、弁護士法人淀屋橋・山上合同のことが大好きで大好きで仕方がなかったのですが、やむを得ない事情があり、退職することとなりました。他方、大阪弁護士会の皆様のレターケースに4月3日に回った弁護士法人淀屋橋・山上合同の挨拶状には、私に関する記載が一切なく、また、私の存在はなかったかのようにHPからも消されてしまっていますが、これは、淀屋橋・山上の社員パートナーとして、経営責任を負っていた者が、定年でもないのに退職したのが初めてのケースでしたので、ここからは想像ですが、1つのけじめとして、淀屋橋・山上合同として、わざわざ紹介する訳にはいかない、というものであったと思います。普通「弁護士村」では、辞める弁護士と送り出す弁護士事務所が連名で挨拶状を出すのが多いのですが、それができなかったことは私の不徳の致すところです。もしかしたら、一部の方にご心配をお掛けしたかもしれませんが、私個人は極めて元気に、前向きに仕事をしておりますので、どうぞご安心下さい。また、私とは別の道を歩む弁護士法人淀屋橋・山上合同も、どうか今後ともよろしくお願いします。


 弁護士法人創知法律事務所での私は、淀屋橋・山上の1/10の規模の事務所からの再スタートとなります。大きな看板を失った藤本ですが、私は、今までできなかった色々な試みをしながら、新しい弁護士法人創知法律事務所を、日本一の事務所にするために、全力を尽くします。すなわち、個人であれ、法人であれ、日本と何か接点のある世界中のあらゆる人々の法的ニーズに応えられるよう、語学面では私が日本語のみならず英語・中国語のサービスを提供できますし、今回札幌という場所を得たので、地理的にも、日本のかなりの広範囲の方にサービスを提供できるようになると思います。また、真に競争力のある、また質の高い業務を提供していきたいという仲間を広く募り、少しずつ、しかし着実に、弁護士法人創知法律事務所を強くしていきたいと思っています。


 藤本一郎と、私が代表を務める弁護士法人創知法律事務所、そして私が好きでたまらなかった弁護士法人淀屋橋・山上合同の今後を、どうぞ宜しくお願いします。

今更ながら臨時総会の概要


 臨時総会の議事録が日弁連HPに掲載されていたという情報を得まして、リンクを貼っておきます。会員専用ページでなさそうなので、皆さんご覧頂けるようです。

http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/event/soukai/soukai_160311.html

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/organization/data/160311.pdf

私の修正動議(第三案)については、このPDFの28頁あたりからです。

藤本一郎会員(大阪)
「順番が逆になったが、4番目に第3案を提案する。
 第1号議案に対する修正である。
 修正したいことは2点ある。
 1点目は趣旨説明、第1号議案の第4段落、推進会議決定の引用部分である。執行部案の「当面1,500人程度」と書かれている部分は引用が不正確である。私の修正動議の内容は、カギ括弧の「当面1500人程度」という部分を「直近でも1,800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべき」、これを引用してもらいたいというのが1点目である。
 2点目は次の2ページの3点である。一つ目は、司法試験合格者数である。先ほどの推進会議決定を踏まえたならば、「司法試験合格者数が年間1,500人以上輩出されるようにし、かつ、現在の年間1,800 人の水準を十分考慮し、急激な減少をさせない」ということになる。そして二つ目は、法科大学院と予備試験のことである。執行部案はいろいろと書いてあるが、何が一番重要かというのがよく分からない。「法科大学院制度について奨学金をより一層充実させ、予備試験制度については制度趣旨を踏まえた運用とする。」と、この点を変えていただきたい。
 3点目については請求者案と同じである。司法修習については、明確に給費制の復活を求めるという修正をさせていただきたい。

 理由の要旨については皆様に配っているが、一言で言えば、私たちが考えたいのは、現在の我々の法曹、これも大事であるけれども、「将来像、未来」である。執行部案、請求者案、一生懸命考えていると思う。しかし、これがこのまま可決されてしまうと、将来の法曹志願者に、一体合格者がどうなるのかと、不安を与えることは間違いない。
 先ほど執行部は、志願者増のためにパンフレットを作ったと述べた 。パンフレットで志願者が増えるのか。請求者はお金と述べた。確かにお金も大事である。ただ、一番大事なのは何か。我々法曹が、弁護士が、後輩に対して来てほしいという真摯なメッセージを伝えることではないか。是非とも、当職が提案させていただく修正動議について、まず審議をお願いしたい。」

・・・

 議長が、修正動議の成立について議場に諮ったところ、出席会員50名以上の賛成が得られたため、動議が成立した。議長は、修正案及び原案の採決の先後につき説明し、討論を再開する旨宣した

藤本会員

「先ほど動議の内容については説明したとおりであるが、主要な内容だけ確認させていただく。「合格者数について年間1,500人以上輩出されるようにし、かつ、現在の年間1,800人の水準を十分考慮し、急激な減少をさせない」というのが一つ目。
 二つ目が法科大学院の教育の質を向上させるとともに、「法科大学院制度について奨学金をより一層充実させ、予備試験については制度趣旨を踏まえた運用とする。」
 三つ目は第2号議案と同じで、修習費については給費制の復活を求める。

 以下、修正動議提案の理由の要旨を説明する。

 最初に、執行部案について、私は、正直申し上げて、「まず早期に」という言葉が付いていなかったら、こんな動議は出さなかった。「まず早期に」という言葉はどこから出てきたか。執行部案は、政府の法曹養成制度改革推進会議の決定を先ほど申し上げたとおり不適切に引用している。その会議が1,500人というのを、確かに入れたわけだけれども、まるで認めたかのようにしている。
 我々としては世間の要請も十分考慮すべきだし、現に3,000人合格だといって法科大学院に来た人がいっぱいいる。そういう人たちに対して、さらに一体どうなるか分からないという減員策を示すというのは非常に問題がある。少なくとも去年の政府が決めたこと、この範囲では、しっかりやるということを示すことが重要ではないかと考える。

 次に1,500人の在り方であるが、理由要旨の2であるが、司法試験合格者数は法曹志願者にとって、将来自分が司法試験に合格して法曹になれるかどうか。これを示す大事な要素である。私たちは現在の法曹として、法曹志願者に対し、将来の司法試験合格者数がむやみやたらに減少するものではない。ちゃんと頑張れば司法試験を突破できるという安心感を与えてあげる必要があると考えている。私自身54期である。旧司法試験で初めて1,000人合格、丙案と呼ばれていた時代である。私が大学に入学したときに11回生がいて驚いたことがあった。当時、京都大学には4年休学4年留年という制度があり、しかも休学は任意に行ったから、12年京都大学に在籍することが可能であった。何で11回生な
のかと聞いたら、司法試験に受からないと。長期にわたり不合格が続く。そういう先輩、友人を記憶して
いる。そういった、点による勝負はまずいという批判から司法試験制度改革がスタートしたことは皆様の記憶にも新しいところではないかと思う。
 そのため、第2号議案の1,000人合格への削減というのは反対である。
 また第1号議案の執行部案、「まず早期に」という言葉が大変気になる。早期に、まずということであれば、近い将来、更なる削減を予定しているということは明らかである。しかもその削減幅が幾らか分からないというのがこの執行部案のポイントである。1,000人かもしれない、800人かもしれない、1,200人かもしれないという状況の中で、いくらすばらしいパンフレットを作っても、法曹志願者が本当に集まるか。司法試験合格者数はこの9年間、1,800人以上で安定して推移してきた。しかし、
これをまず早期に1,500人とすれば、法曹志願者に対し、将来一体どこまで門戸が狭くなるのか。その予測可能性を奪うことになり、将来に対する悪いメッセージを残すのではないかと危惧している。
 第1号議案はもちろんすばらしい点もあるが、結局のところ、法曹志願者の志願意欲を減退させ、法曹志願者数を更に減少させることになり、優秀な人材が法曹に集まらなくなる。その結果として法曹の質的な低下をもたらす危険な議案ではないかと考える。
 ゆえに私たちは、1,500人というのは上限ではなく、「現在の法曹需要を考慮した下限である」ということを明らかにしたい。これ以上、現在・将来の法科大学院生を含む法曹志願者に対してネガティブキャンペーンをするのはやめにしないか。
 法科大学院の学生は一生懸命勉強している。私も三つの法科大学院で教えている。法曹志願者が減っている中で、あえて苦難の法科大学院にやってきた、あるいはあえて予備試験に挑戦して合格した彼らに、
更に門戸を狭くするような決議、今ですら先ほどあったとおり、法科大学院の入学者数は2,200名、適性試験受験者数もかなり少なくなっている。そんな状況で更に追い打ちをかけるような、門戸を狭くするような決議をする。このことが我々法曹の先輩としてなすべきことなのか。
 
 3点目に移る。法科大学院奨学金と予備試験について、確かに法科大学院にお金が掛かるのは事実である。また法科大学院に通う時間がない方がいる、これも事実かもしれない。ただ現状、これは執行部の説明にもあった、予備試験は実は半数が大学生や法科大学院生の合格者である。単なる就活のツールとなっている。法科大学院の成績が悪い人が一発逆転を狙って、予備試験に合格したらうまく採用してもらえるだろう。こういった制度になっている面が少なくとも一定程度ある。予備試験を何らの制限も付さないというのは、本来、予備試験に合格してほしい人をむしろ予備試験から遠ざけ、法曹の裾野を狭くしている。他方、法科大学院での学業に専念できる環境を整備するためには、在学中の経済的負担をできる限り軽減する制度を構築することが必要不可欠である。特に一層の法科大学院生に対する奨学金の充実、こ
れを質の強化よりも前にまず、うたうべきであると考えて提案する。

 最後に給費制についても触れる。将来の法曹志願者に安心して司法試験を目指してもらうためには、法科大学院のみならず、司法修習の間の経済的負担を軽減させることも非常に重要である。給費制の復活はその基礎となる。給費制の廃止は、もともと年間3,000人合格を想定して人われてきたものである。今の合格者数は、当初であっても1,500人から1,800人、現状も1,800人であり、旧司法試験の末期と比べると大差がない。旧司法試験は1年6か月であった。ということは、1年の修習であれば、その1.5倍入っても同じお金でやれるはずである。そうすると給費制の復活は不可能ではないはずである。
 第1号議案、給費制に代えて新たな給付制度を求めるという現実路線をとったものであると考える。しかし、日弁連の要請として、現時点で初めからそのような妥協路線でいいのか。明確に「給費制の復活」を求めるべきでないか。

 以上、述べたように、法曹人口の問題、あるいは経済的支援の問題、これらは全部、法曹志願者の急減の問題と結び付いている。当職の修正案について、是非議論をよろしくお願いする。」


 河崎健一郎先生の、上記第三案に対する賛成(留保付ですが)討論は、PDFの36〜39頁(恐らくこの日の全ての演説の中でもっとも心を動かす素晴らしいものでした。)、多田猛先生の賛成討論は、PDFの43〜44頁にあります(こちらも勇気づけられるものでした。)。

 あと、総会時に話題となったイノシシ討論をされた尾関先生(請求者案に賛成)のご意見は33〜34頁であり、おなじみの高山先生のご意見(恐らくは請求者案に賛成?)は40〜42頁です。


 ご覧頂ければ分かると思いますが、大幅な司法試験合格者の減少を主として論じた請求者案への賛成討論、執行部案への賛成討論、それぞれ、「色」があると感じるでしょう。会場にいたときは、その「色」をものすごく感じました。そして、僕らほど、未来を明るくしようという観点で意見を述べたものはいなかったと感じました。つまり、多数派ではなかったかもしれないけれども、一番輝いている「色」は僕らだったと自負しています。


 私たちが一石を投じたつもりであった時から、時間ばかりが過ぎてしまい、「次の一手」がうまく打てていない状況にありますが、日々の中で、この法曹の世界をより良く、またより楽しくしていく努力は重ねているつもりです。

日弁連臨時総会の感想(続き)

 臨時総会の感想が色々なところに載せられているので、少しご紹介を兼ねて書いています。


 まずは、請求者案(第2号議案)に賛成の側から、岩田圭只弁護士(56期)。
 「日弁連臨時総会を終えて」
 http://www.iwata-lawoffice.com/wp/?p=1251

 岩田先生は、実は京都大学法学部の後輩でして、同じ「みんぽー研」というサークルにいました。まあ学年がずれていたので、直接の交流は殆どなかったかもしれませんが。彼のように、もともと私共の主張に一定の理解を示してくれている人は請求者案賛成の側にもいたのだと思うのですが、そうではない請求者案賛成者側の方からも、最後に多少の情報交換を求められたのは、存在感を示せた証ではなかったかと思います。


 次に第三案賛同者から、伊藤雅浩弁護士(61期)。
 「日弁連臨時総会」
 http://d.hatena.ne.jp/redips/20160311/1457708124

 伊藤先生とはもともと面識はなかったのですが、わざわざ大阪まで会いに来て下さって、私の熱意を確認した後で賛同して下さった方です。そしてこの伊藤先生が、賛成討論をして下さった河崎健一郎弁護士(61期)(※崎の字の右側は「立に可」)を第三案陣営(?)に引き入れて下さったのです。

 河崎健一郎弁護士の賛成討論の案文は、公開されていますので、ご一読頂ければ、当日いらっしゃらなかった方にも迫力が伝わるかもしれません。
 https://www.facebook.com/notes/%E6%B2%B3%E5%B4%8E-%E5%81%A5%E4%B8%80%E9%83%8E/311%E6%97%A5%E5%BC%81%E9%80%A3%E8%87%A8%E6%99%82%E7%B7%8F%E4%BC%9A-%E8%97%A4%E6%9C%AC%E6%A1%88%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%B3%9B%E6%88%90%E8%A8%8E%E8%AB%96%E8%8D%89%E7%A8%BF/974959829247660?pnref=story

 
 第1号議案(執行部)側の方の感想は、なかなかネットには上がっていないのですが、昨日今日と様々な感想を伺う機会が沢山ありました。私は前座に過ぎませんでしたが、2人(上記河崎先生と、多田猛弁護士(65期))の第三案の賛成討論を特に「良かった」という声は多かったですね(昨日も広島の先生が討論においてそのように仰っていたと思います)。

 採決についても、執行部側とされる方から「本当は第三案に賛成だけど・・・」という声、沢山頂きました。某先生は思わずか意図的か、(一定数の1号議案賛成の委任を受けていたのに)第三案に賛成の投票をしてしまった(!)ようですよ^^


 全体を通じて、少なくとも出席して頂いた先生方には、一定程度主張が伝わり、存在感を示せたようであることは良かったです。世の中には、コップの中の出来事として伝わっていないかもしれませんが、これからですね。

 ・・・さて、次に何をしますかね!?未来の法曹のために。
 

臨時総会の結果報告


 法曹養成制度についての話し合いを行う、日弁連の臨時総会に出席してきました。


 結果だけ申し上げると、執行部案(第1号議案)が賛成多数で可決され、「まず当面1500」なる決議が通った訳ですが(そして請求者案(第2号議案)である「直ちに1500、可及的速やかに1000」は否決)、私共が訴えた、「年間1500名以上輩出されるようにし、かつ、現在の年間1800名の水準を十分考慮し、急激な減少をさせない。」という「第三案」についても、第1号議案に対する修正動議として提出させて頂き、ご審議頂くのに必要な50名の賛同は得られたので、審議の対象として議論して頂きました。

 (第三案の詳細については、http://www.fujimotoichiro.com/160311proposal.pdf http://www.fujimotoichiro.com/160311compare.pdf をご覧下さい)


 まずは、拙い提案であったかもしれませんが、私共の提案にご賛同頂いた方々、また、賛同はしなかったにせよ、耳を傾けて頂いた方々にお礼申し上げます。


 出席して頂いた方には、多分、私共の訴えたかった点が伝わったのではないかと思います。私共は、司法試験合格者数をただ減らすばかりでは、法曹志願者の増加につながらない、制度に安心を与え(=1500名を下限とする)、先輩として、将来の法曹に対し、仲間になって欲しいというメッセージを伝えること、そして弁護士法1条のいう社会正義の実現を、より多くの法曹によって達成したいということであったと思います。


 私共の提案に賛成討論をして下さった河崎会員、多田会員は、それぞれ若干私と立場は異なりましたが、いずれも法科大学院卒の若手弁護士として、若手が必ずしも急激な減員を望んでいる訳ではないことを立論して下さったと思います。合格者を絞り込むという手法で質を確保するという第2号議案に対し、ならば現役の弁護士も資格更新制度を導入してはどうか?それが嫌だというのであれば、若手を「ダシ」にして自分たちの権益が守りたいだけだ!と切り込む河崎会員の立論は特に説得的であったと思います。

 
 あまり第2号議案を悪く言うのは本意ではないのですが、第2号議案の賛成討論をされた先生方が年配の先生ばかりであったこと、また、その内容が余り本筋と関係がない先生が散見されたこと、更に司法試験を厳しく難しくすれば質が保たれると考えておられること、経済的な収入の話がものすごく多かったことが、強く印象に残りました。そこから見えてきたのは、結局、若手が食えなくて困っているという請求者側からの議論は、空想とまでは言わないにせよ、論拠としてそれほど強くないのではないか、というものでした。本当に困っているのであれば、何故そこで若手が賛成討論をしなかったのか、不思議でした。

 
 他方、第1号議案(執行部案)の賛成討論は、そのまま第3号議案の賛成討論に使えそうなものが目立ったように思います。法科大学院を中心とする法曹養成制度を「死守」する義務はないですが、いまある制度を改善しつつ発展させる、これは私共と同じ考えでした。そしてそうであれば、法曹志願者が激減する可能性が高まる司法試験合格者減を推進すべきではないのであり、自然と私共の議論したような、緩やかな減員になるのではないかという気もしました。


 懇親会も盛り上がりました。何より私は、この素晴らしい弁護士という仕事が、とても楽しいものであって、後輩に勧めたいと思う若い弁護士が多数いたことに勇気づけられました。全体として、結論としては1号議案の賛成多数となりましたが、恐らく今日の議論、私共の議論が多少なり生きてきて、将来の法曹志願者を増やすためにも、そう簡単に司法試験合格者数を減らすべきではない、という方向に行くような気がしています。私共はいまは少数派ですが、今後新しい司法試験合格者が弁護士になっていくにつれて、多数派になるかもしれませんしね!


 この縁を大事にしていきましょう。再見!