商号
ここに、「上海ぎーち国際貿易株式会社」という法人があったとする。
さて、その商号は、なにでしょうか??
日本法的に言えば、「上海ぎーち国際貿易株式会社」であることは間違いない。商号とは、当該法人の正式名称を意味するからだ。みずほ銀行の商号なら、「株式会社みずほ銀行」が、我が事務所の商号なら、「弁護士法人淀屋橋・山上合同」である。
じゃあ、中国法上はどうか。「上海ぎーち国際貿易株式会社」「株式会社みずほ銀行」「弁護士法人淀屋橋・山上合同」は、いずれも、「企業名称」ではあるが、一般に「商号」ではない。中国法上、「字号」とは、当該企業名称のうち、地理名称(上海)や業種名称(国際貿易、銀行)、組織形態(株式会社、弁護士法人)を除いた部分のことである。「ぎーち」「みずほ」「淀屋橋・山上合同」がそれに該当する。一般に「商号」とは「字号」のことを意味する。
中国の「企業名称登記管理実施弁法」には以上のことが書かれているが、「字号」「企業名称」というタームが出てきても「商号」というタームは出てこない。世の中で「字号」と同義だと思われているだけである。つまり「商号」は正式な法律用語ではなく、従って「企業名称」と同義に使う人すらいる。
いずれにせよ、中国法上「商号」というのは、ちょっと厄介だ。