藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

今日の日経一面を読む〜いわゆる「混合法人」について


 今日の日経新聞一面は、「外国法弁護士、活動容易に」というタイトルでしたね。
 そして、外国法事務弁護士は、弁護士法人の社員(パートナー)になれず、それに代わる法人もないので、結局、外国の事務所が支店を設けることができないところ、「混合法人」すなわち、外国法事務弁護士が社員になる法人ができれば、自由な活動ができるようになる、という面が強調された記事でした。


 しかし、私はここで、2つの点を指摘したいと思います。
 第1に、外国の著名法律事務所が、この制度を使って、法人化し、大阪や名古屋、福岡に支店を持つ可能性は、それほど高くないと思います。東京でも大阪でも弁護士活動をしている私の実感として、大阪の依頼者と東京の依頼者では、弁護士に対する評価の方法も、支払の仕方も全く異なると言って良いと思います。大阪や福岡で、外国の著名法律事務所が、ペイするような事業展開をすることは、およそ考えづらいと思います。


 その証拠となるかどうかわかりませんが、日本の弁護士のみで構成される弁護士法人も、基本的に、大阪の規模のある事務所が東京に支店を持つことが主たる利用方法です。その他、過払いなどを得意にする事務所が全国に支店を設けている例がありますが、これは外国の著名法律事務所でやれるようなビジネスモデルではないでしょう。


 第2に、日本の弁護士にメリットがない訳ではないと言う点です。
 例えば、私がいま、自分の事務所(弁護士法人淀屋橋・山上合同)に、外国法事務弁護士を雇用したとしましょう。しかし、この方は、当事務所で法律上のパートナーになる道がありません。弁護士法人の社員は、弁護士でなければならず、外国法事務弁護士ではダメだからです。これは、法人化しない事務所について、2003年の外弁法改正で、「外国法共同事業」という形式で、日本弁護士と外国法事務弁護士がともにパートナーとなる道を設けたこととの比較では、不公平だと言えます。そうすると、優秀な外国資格の方を、弁護士法人が確保しづらくなっているというのは、1つの事実としてあると思います。


 大阪で唯一、「外国法共同事業」をされている北浜法律事務所(組合)は、法人化している系列事務所がある(東京・福岡)のに、大阪では、外国法事務弁護士のパートナーがいるためか、登録上全員、組合の方に属する形式になっています。「混合法人」が導入されると思われる2012年に、どのような選択をされるのか、注目です。


 いずれにせよ、外国の弁護士との戦いは、「本土決戦」で火の玉となる戦いではダメで、外に出ていけるような戦い方を考えないといけません。今回の「混合法人」案に対する評価は、外弁制度に詳しい弁護士の間でも割れていますが、私は、積極に評価しても良いのではないか、より改革を進めないといけないのではないか、と考えています。


 もっとも、大阪弁護士会で、私の私見のような取りまとめをすることは、ちょっと厳しいかもしれません。混合法人で割を食うのは大阪だと思っておられる方も少なくないので・・・。そんなに大阪の市場に魅力があれば、良いのですが。