藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

法曹倫理科目を司法試験に!


 ある方のブログに、「その筋」の方が司法試験を目指す危険性が高まっていることの指摘があります。

http://news.livedoor.com/article/detail/5870859/


 しかし、だから旧司法試験のような「最難関」試験が良いということになるのでしょうか。


 例えば、米国の「容易」な司法試験には、法曹倫理が二重に司法試験に絡まる制度になっています。まず、司法試験とは別にMultistate Professional Responsibility Examination (MPRE)と呼ばれる倫理試験があり、ここで一定の点数を取らなければ、仮に司法試験に合格しても、弁護士登録できません。また、各州の司法試験でも、大抵の州で法曹倫理が試験科目の1つになっています。我々カリフォルニア州の司法試験では、カリフォルニア州の法曹倫理制度と、American Bar Associationが制定したMODEL RULES OF PROFESSIONAL CONDUCTとの相違が問われることもあります(実際、試験科目の説明の2頁目をご覧頂くと、両方が範囲であることが分かるでしょう)。

 そして、実務の運用としても、厳しく法曹倫理を問います。


 日本はどうでしょうか。やや甘い運用がされているように思うこともあります(特に72条問題や、利害相反に関する実務)。司法試験に法曹倫理がないことが一因ではないかと思うこともあります。


 試験を難しくしたところで、倫理に甘ければ同じことだと思います。むしろ、倫理を厳しく問う姿勢を示すためにも、例え司法試験全体としては簡単であったとしても、司法試験科目に法曹倫理を加え、厳格に運用する方が、法曹養成全体、ひいては日本の法曹制度全体にとってメリットが大きいのではないでしょうか。


 ちょっと違うかもしれませんが、反社に関する近時の運用を見ていてそう思うんですよね。契約締結にせよ、有価証券届出書の提出の際にせよ、反社性が証明できなければ何事も動かない社会になりつつあるじゃないですか。司法試験だって、そうすれば、かなり意味があると思うんですよね。