藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

インド洋給油作戦


朝日新聞電子版2007年9月9日付
http://www.asahi.com/politics/update/0909/TKY200709090145.html

 安倍首相は9日、シドニー市内のホテルで記者会見し、11月1日で期限が切れるテロ対策特別措置法に基づくインド洋での海上自衛隊による給油活動の継続について「国会は大変厳しい状況だが、国際的公約となった以上、私には大きな責任がある。職を賭して取り組んでいく」と述べた。さらに、活動を継続できない場合は「職責にしがみつくということはない」とも言明し、政治責任をとって内閣総辞職をする考えも表明した。

 安倍さんは、前の参議院選挙でも、安倍さんか、小沢さんか、政権選択選挙だ!みたいなことをいって、1つ1つの問題で、自分の命をかけるっぽいことを仰いましたが、また、同じ手をここで使ってきました。おそらく、これを言えば、本質的には保守的な日本国民が自分を支持してくれるのでは?という安倍さんなりの「感覚」があったのだと思います。今回も、「インド洋給油をやめるのはとんでもない」という安倍さんなりの「感覚」があるので、最終的にこの点を争点に小沢さんとやりあえば、「正義は勝つ」ではないけど、きっと自分の方が最終的に支持を集めることができる、と思っているのかも知れません。


 アメリカは、その地理的な制約から、実はサウジアラビアなど中東諸国からの原油に対する依存率はそれほど高くありません。それに引き替え、日本は、相当依存しています。アメリカがイラクやアフガンで頑張ってくれているのは、勿論色々な利権もありますが、これがインド洋や中東における治安の維持に役立っているとすれば、確かに間接的であれ、我が国のためになっているといえるでしょう。そういう視点からは、「インド洋給油をやめるのはとんでもない」という感覚に理解を示すことも可能かもしれません。


 ただ、翻って考えるに、そもそもこの給油作戦と、インド洋や中東における我が国のタンカーの安全が、密接に結びついているのか、そこがよく分かりません。もし結びついているとすれば、いまや原油の安定供給は世界的課題(原油の高騰は全世界の経済をゆさぶります)であり、むしろ国連主導による活動という環境を作って、そこに日本が参加するというカタチが何故できないのか、という小沢さんの主張にも、一利がある気もします。


 また、そもそも、国際的公約としたのは、安倍さんが勝手に約束してきただけのことでもあります。
 それに、インド洋における給油の85%程度は、アフガニスタンにおける作戦に向けられているのではなく、イラクに対する作戦に向けられている訳です。確かこの給油は、アフガンのため、という説明だったと思うのですが、いつのまに、イラクのためになったのでしょう?透明性がない点は、なんか、ホンマに、決められた通りの作戦に参加してるんやろうか?という気にさせます。


 おっと、書き忘れましたが、勿論法律家として、また広島出身者として、個人的には、このまま無為に自衛隊の活動領域が憲法の領域を超えて無制限に広がること、集団的安全保障に関する憲法解釈が無制限に広がるのを黙視するのも、なんというか、嫌です(もっとも、普通の人がこの点をどれだけ重視するのかは分かりません)。


 こう考えていくと、安倍さんが、こんな「命がけ」を言い出したのは、別な理由に基づくのではないか、という気もしてきます。


 そもそも、麻生内閣を誕生させることをサポートしているのではないか、というのは、どうでしょう?


 もしも、7末の選挙の際、安倍さんが退陣していたとしましょう。にもかかわらず、新総理(麻生さんを想定)テロ対策特別措置法が10月の国会で延長できなかった、としましょう。麻生さんはどうなるでしょう?何らかのカタチで責任を取らざるを得ないような気がします。せっかく首相になっても、3ヶ月で総辞職ないし危機的状況となるなら、おいしくありません。おいしいのは、こういう嫌なことが片づいてから首相に就くことです。10月、安倍さんが、テロ対策特別措置法が通らなかったことを理由として、総辞職してくれて、そこで麻生さんが首相になれば、この外交上の失点は、安倍さんの失点であって、麻生さんの失点ではなく、次の総選挙においても、麻生新首相は、この点を除外視して小沢民主党と戦うことができる・・・・。


 なんか、これが一番説得力がある気がしません?勿論、安倍さんがああ言ってもうて、それで実際に給油が継続できれば、それはそれで自民党としては万々歳な訳で、要はもう麻生内閣は始まっているという訳です。


 幹事長が首相を操る手法といえば、海部内閣や宇野内閣の時の、当時の自民党幹事長の小沢さんのやり方を思い出します。その小沢民主党に対抗するために、麻生さんが、同じ様なやり方で安倍さんをあやつり始めたのでしょうか。その後、選挙ではどうなるのでしょうか。


 選挙・・・。上海に移ってからの手続をまだしていません・・・。上海の領事館の説明を読んでいると、在留許可が下りないと、どうも選挙人登録できないっぽいんで・・・。別な機会で書くことができると思いますが、Zビザ取ってから、在留許可を取得するまでの道のり長いんですよ・・・・。選挙人登録、登録から3ヶ月は投票できないので、お願いですから、総選挙は12月末くらいまでは待って欲しいのですが・・・。また投票できないのは辛いです・・・。