藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

拡張型心筋症


 私は2005年の年末と2006年の年始を、米国カリフォルニア州ロサンゼルス市の自宅で、麻雀やトランプをしながら談笑して過ごした。その輪の中の1人に、拡張型心筋症という病気を患い、心臓移植を受けた方がいた。


 私が当初居住したこのロサンゼルス市の自宅は、UCLA School of Lawから近いところ・・・という観点で探したのであるが、結果的に、UCLA Medicalと目の鼻の先の家になった。そのため、このアパートメント(実はここには色々な問題もあるのだが、ここに住みたい人だけ個別に尋ねて欲しい)には、UCLA Medicalで心臓移植等を待つ患者と家族が多く生活していた。残念ながらお亡くなりになった方を含め、私は心臓移植を受けられた患者の何人かと交流するという経験を得た。


 こういった移植を受けるというのは、手術そのものも勿論大変であるが、米国での生活もまた大変である。特に金銭面での問題は大きい。そこで、一般に寄附を募ることが多い。


 私は、寄附を募ること自体、何か言いたいのではない。私も、そういう方と間近に交流した身として、本当に米国での生活は大変だから、助けてあげたいという気持ちが沸いてくる。


 ただ、寄附を求める側として、情報公開は十分といえるのか、本当に考えて貰いたい。
 例えば、Websiteを作りながら、連絡先としてメールすら書かれていないことがある。例えば、移植手術が終わったらWebsiteを早々に閉鎖してしまう場合もある。そもそも、寄附の目標額が何故そうなるのか、今ひとつ分からない場合もある。*1


 こういった情報公開が不十分なために、○○詐欺の手口として悪用されたり、家族は裕福なのに何故寄附を求めるのか、といった批判が出たりする。


 おそらく寄附を求める側としても、様々な批判が怖いのだと思う。情報公開とは、プライバシーを曝すことであり、確かに気持ちいいものではない。しかし、インターネットという手段を用いて利益を得るものは、同時にそこから発生する不都合をある程度は甘受しなければならないのではなかろうか。


 例えが良くないかも知れないが、ご承知のように「藤本大学」は設立から11年を経ているが、一貫して連絡先として記載している私のメールアドレス、gichi@mbox.kyoto-inet.or.jpは数々の攻撃に曝されてきた。私を日本と米国の弁護士であると知っているからか、これまで命を落としかねないような重大な攻撃はなされなかったが、それでも、毎日数百通以上のスパムメール、毎日数十通程度のウィルスメールは実際にいまも受け取っている。日本語だけではなく、近時はロシア語・韓国語に関連する攻撃も多い。他方、叱咤激励のメールも頂戴するが、その中には、様々なご批判も当然含まれる。しかし、私がネットという環境で言論を展開している以上、「言論の自由市場」における反論批判は、そのルールから逸脱したものでない限り、受けない訳にはいかないのである。


 勿論、全ての「救う会Websiteが不十分だ、という訳ではない。
 ただ、企業の会計基準と違い、明確な基準がないために、情報公開のレベルがまちまちであることは否めない。その割には、高額の寄附を募ることになるのだから、自ら襟を正す努力は大事である。


 もう一言言えば、寄附を受ける側は、これが法人でなければ、贈与税を支払わなければいけない可能性がある。巨額の脱税をしていないか。このあたりの税務処理も、明確になされなければならない。ある意味、株式会社同様に人からお金を預かるのであるから、法律税務の知識が要求されるのは当然である。


 最近、母校の後輩で同じ病気に苦しみ、おそらくUCLA Medicalで移植を受ける方がいると聞いた。本当にできる支援をしてあげたいのだが、是非とも情報公開については、十分配慮して頂きたいものである。

*1:各「救う会」の寄附目標額と実績については、次のWebsiteが詳しい。http://blog.goo.ne.jp/cat_in_boots/e/b1fc207580dff8c1d800f8cfedf56158