藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

やっぱり眠いや

 NY時間だと夕方5時を過ぎました。
 やっとTortsに目途?がついてきたし、このままでいると寝ちゃいそうなので、ちょっとネットを。

 さて、日本のニュースでは、対北制裁案の問題が大きく取り上げられているよねえ。

 しかし世界のニュースを見ると、なんかちゃうよねえ。

 日本では、安保理に「日米英仏共同提案」の北朝鮮制裁案だと書いてあるけど、例えばVoice of Americaの本件に関するタイトルは"US Envoy Seeks 'One Voice' on North Korea, But Japan Says No Compromise on Sanctions" 記事の中でも、米仏英は制裁のない中国の議長宣言が適当だと言わんばかりの論調。http://www.voanews.com/english/2006-07-08-voa9.cfm

 BBCもだいたい似た感じ。http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/5160452.stm
 アメリカが北朝鮮の取引(制裁回避と六ヶ国協議復帰を交換に)をはねつけるという点が記事になっているけど、それと、安保理の制裁案そのものの流れとはちょっと違うように受け取れる。

 そもそも、まあこれは欧米社会では仕方ないところだけど、イスラエルパレスチナの問題がまたややこしくなってきたところでもあるので、このミサイル問題の占める比重が小さいのが、とても気になる。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 という我が国の憲法の理念。今回この理念がまさに発揮されるかどうかが問われていると感じる。第二次世界大戦における自らの暴走に対する反省を経て、「われらの安全と生存」を、まさに国連という場で実現することに賭けているのである。国連(安保理)によって、どうしようもない赤ん坊を教育指導し、我が国の安全と生存に守る、ということができる、と我々は信頼しているのだ。

 安保理で誰が提案趣旨を説明するのか分からないが、今回の提案が、我が国の安全と生存にかかる一大事であり、このような危機に安保理が機能するということをもって、我が国が(例え形式的にせよ)軍事力を拡張せずにいられることを、逆に言えば、万一この提案が認められないなら、日本に国連を信頼して自国の安全を確保するなと言っているようなもので、ならず者に対抗するために日本が軍拡をせざるを得ない、そんな道に進むことすら、あり得なくはないということを、強く説得して欲しいなあ。

 昔、米国が提案したイラク侵攻を認めるような決議案について、フランスの当時の外相で現首相のドビルパンの演説が非常に良く、感動を覚えた記憶がある(つれづれでも書いた)。その演説の結果として、米国提案は思ったよりも少数の賛成しか得ることができなかった。今回日本が主提案国だと思うので、是非とも、現在仏国内で苦境のドビルパンより上手い、理念に基づく説得力ある演説をして貰いたい。私は、そのヒントは第2次世界大戦を経た日本の成り立ちと憲法の理念にこそあると信じる。

 人は、別に私だけではなくて、意外と青臭い理念が好きなもんだと思う。