藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

「産む機会」「子供は2人は健全」


 某国の厚生労働大臣の発言が国会を、選挙を揺るがしました。
 私も、前者はまったくけしからんと思います。
 ただ、後者(「結婚し2人以上の子どもを持ちたいという(若い人の)極めて健全な希望にフィットする政策を考えていかないといけない」)は、質的に違うのではないかなあ、と思いました。

 
 誰が考えても分かることですが、全ての男女が結婚したとして、子供を平均2人もうけなければ、人口は減る訳です。勿論平均余命が伸びることによって、2人ではなくても人口を減らさないことはできるでしょうが、それは永遠に平均余命が伸び続ける、という前提での話。むしろ、現在の平均余命水準が頭打ちになりつつあることを考慮すれば、次世代が社会として機能するにあたり、出生率2を目指すことは、「健全」な社会を作る上で非常に大事だと思います。


 結婚も出産も個人の自由です。結婚したくない、出産したくないという希望を持っておられる方もいますし、身体の問題で出産ができない方もいらっしゃるでしょう。ただ、結婚したくても、出産したくても、経済的に・社会的に「できない」という人が沢山いるのがいまの日本だと思います。そういう状況を変えることについて、希望を持てばどちらでも実現できるような社会にすることは、政治家の大事な使命の1つであり、是非とも出産・育児・そして女性の社会復帰について、やりやすくなるような政策を早急に打ち出して欲しいと思います。


 近時、出産一時金が30万円→35万円に上がりましたが、この5万円の増加で産みたいという人が増えるとは思えません。一番のポイントは、女性が社会復帰できるかどうか、という点ではないかなあと思うのですがどうでしょうか。女性が折角就職しても、結婚や出産を機に一旦会社を辞めたら、資格職でない限り、再就職が難しい。パートくらいしか見つけられない。この問題が解決すれば、みんなもっと結婚・出産をポジティブに考えると思うのですが。


 これは何も女性に限った問題ではありません。
 男性も、私の大卒のころは不景気で、就職がないという時代でした。その頃に、「新卒入社」を逃した奴らは、バイトのような仕事で細々とやっていたりします。あるいは、司法試験を目指してずっと勉強していた奴ら。30無職は確かに評価しづらい面はあるでしょうが、しかし、あと少し力があれば弁護士になれたような頭の切れはある奴らだったりするわけです。日本という社会は、大卒=22歳前後で就職に成功していなければ、あるいは、そこで得た成功を捨ててしまったら、復帰ができない社会だと言っていいのではないでしょうか。それが出産を阻むのみならず、その1点で成功しなかった人々の活躍の場を大きく奪っているように感じます。


 私なりの1つの案は、取りあえずはそういった側面があることを是認した上で、最大5〜7年の休暇を無条件で企業が認めること(そういう労働者の権利を労働基準法上認めること)。勿論給料は出ませんが、そういう復帰ができるなら、今までなら結婚や出産、あるいは資格試験や大学院進学のために仕事を辞めて挑戦していたと思います。勿論企業には負担もありますが、有意な人材が企業の外でも色々な挑戦をすることを容認することは、長期的にはプラスになるのではないかと思います。そして、仮にこの制度が定着すれば、おそらく人材の流動化が進みますので、次の段階として、「22歳新卒」市場以外が活性化し、年功序列社会の崩壊と相俟って、「力さえあればいつ仕事を辞めても戻れる」社会になるのではないかと思います。


 これこそ、「再チャレンジ」に良い案だと思うのですが、駄目かな?