それでもボクはやってない
3ヶ月ぶりに日本に戻ってきました。
証人尋問のためだけの帰国ですので、すぐにまた中国にトンボ帰りします。
手持ち訴訟事件が1件しかないというのは良いですね。余計なことを考えずに事件に集中できそうです。
さて、なかなか映画なんて見る時間のない私ですが、日本帰国に際して、機内で見ました!
「それでもボクはやっていない」
公式サイトはhttp://www.soreboku.jp/index.html
主人公は、チカンをやっていないのにやったとして逮捕されるのですが、その逮捕から裁判が終わるまでをドラマ化したものです。実は、北京→関空の距離・時間の関係で、結末までは見られていないのですが・・・。
恥ずかしながら、機内で大泣きをしながら見てました。
法曹でもない人に、これだけ刑事司法の問題点を、分かりやすく、しかし高いレベルで指摘されながら、のほほんとしている自分が情けなくなったからです。
いわゆる「人質司法」の問題点、裁判の更改の問題点、主張証明責任の問題点。証拠の偏在の問題点。裁判にかかる人的な負担。官僚主義的な色彩のある裁判所の在り方。刑事司法の主要な問題点を若干誇張気味ではあっても、的確に指摘したこの映画は、本当におもしろかったです。
この映画を見て、こういう問題点を全て改善しなければいけないと感じるなら、日本の刑事司法も、単に「取調状況を透明化する」というだけではなくて、捜査段階取調の弁護人同席など、実現しなければいけない課題が沢山あることを、ご理解頂けるのではないかと思います。何より、誰もが逮捕されるかもしれない、ということを実感して貰えれば、すごく嬉しいです。
とにかく、誰が見ても日本の刑事司法の在り方が分かりやすく理解できるので、本当にオススメです。是非機会があれば見て下さい。NH(ANA)の国際線に乗る方であれば、今なら見られると思うので、是非チャレンジして下さい。
余談
いくつか、映画と現実で違う部分も、なくはなかったです。
最大は、検察側と、弁護人側の法廷での立つ位置ですね。もしかしたら、東京地裁では映画通りの場合もあるのかもしれませんが(東京地裁で刑事裁判される方、是非教えて下さい)、普通、傍聴人席から見て左手が検察官、右手が弁護人ですね。これは、民事裁判で、傍聴人席から見て原告側が左手、被告側が右手ということからしても、映画と逆が一般的なのではないかと想像します(刑事事件では残念ながら大阪地裁・大阪簡裁・神戸地裁尼崎支部しか見たことがないので、どこまで一般化できるのかは分かりませんが)。