藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

総合経済対策(緊急総合対策)


「総合経済対策」
http://www5.cao.go.jp/keizai1/2008/080829taisaku.pdf
http://www.asahi.com/politics/update/0830/TKY200808300198.html
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S29014%2029082008&g=P3&d=20080829
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S2900Z%2029082008&g=P3&d=20080829

 いっちゃん上が政府案ですね。
 あとは新聞記事。


 色々言いたいことがあるが、今日は絞って。


 第1、定率減税はやめるべき。誰が何と言ってもばらまき。税金だって投資だ。投資した税金について利息を付さずにそのまま返還するというのは、要するに預かったお金を利息0で戻すことと同じ。かつ、単年度と言うが、今回の景気悪化が長引けば、次年度、その次の同規模減税に必ずつながってしまう。また、単年度減税を実施するための手間ひまを考えても非効率だ。


 第2、教育の問題を待機児童の問題、社会保障の問題を年金の記録の問題など、いずれも「いま目に見える事象」に対する応急的な対策でごまかさないで欲しい。基本的な問題は、社会保障と教育に対し、その制度全体に対し、とてつもなく大きな不安があり、それがために国民が自衛を強いられ、その結果制度に疲弊が見えているということだ。

 例えばその中で教育について言えば、高等教育に対する必要性は日々高まっているにも関わらず、高等教育にお金がかかり過ぎることにある。ここが改善すれば、教育に対する中低所得者のモチベーションが上がり、現在の働き盛りの方の不安はかなり減少する。
 例えば、マトモな大学や大学院の学費が、月額2万円以内でおさまる程度になれば、消費に対する姿勢は全く異なってくる。勿論これもバラマキになってはいけないので、成果の出ている大学や大学院に補助を厚くする。大学の成果を重視することにより、大学に入ったらバイトばっかりという学生がいる大学は結果的に補助が受けられなくなる。逆に成果の出ていない大学にはちゃんと潰れてもらう(どこの大学の学費も高いせいで、成果もなく学費が高い大学と、成果があるのに学費が高い大学との間に差別化が図れず、アカン大学もなかなか潰れてくれない)。また、学費を下げることで、バイトばっかりにならざるを得ない学生を減少させる。更に学生バイトを前提として成り立っている産業の構造を変える。ここが変わらなければ、いわゆるフリーター問題など、雇用問題も解決しない。いわゆる終身雇用以外の雇用形態がきちんと評価されないのは、学生バイトで安く使い回せるからだ。ここが解決しないから、女性の「正社員」がその地位に固執し、子供を産めなくなる。待機児童問題は、思い切って女性が3〜5年くらい退職しても復帰することが容易であれば、それ程大きな問題にならない筈だ。


 第3、基本的に規制緩和の視点がない。例えば農業・漁業の問題を指摘しているが、いまだ完全参入自由化という発想はない。個々人が行うことができる対策は限られてしまうし、個々人に還元するならお金(補助金など)になってしまう。再言するが、税金とは投資なのだ。投資を利息0で戻すような政策は間違っている。