藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

羨望とため息。


 今日、うちの事務所(ロサンゼルス)で結構大きなレセプションがありました。

 世界中のこの事務所で働く1年目(一部の国からは2年目)のアソシエイトが、1つの場所に集まって事務所の歴史やビジョンを学ぶ講座が毎年1回、アメリカのどこかで開催されるそうで、今年はたまたまここロサンゼルスが会場だったようです。そして今日が最終日で、まあ「お疲れさま会」とでもいうか、レセプションが行われたのでした。

 この人はDCから、あの人はインディアナから、この人は上海から、あらこんなところに59期の日本の弁護士さんも、あの人は香港から・・・。世界中の若い弁護士がぎょうさんいる訳です。一体何人いたのかなあ。沢山いました。

 正直羨ましい気持ちになりました。アメリカには、アメリカ資本のこういう事務所がぎょうさんある訳です。アメリカ人は世界中どこに行っても、自分たちを助けてくれる自国資本の弁護士が見つけられる訳ですよね。


 他国の資本が混じっていてもいい、ただ、日本を発祥とする真に世界的な事務所ができて、東京か大阪か知らないけど、箱根とか黒川とかでもいいけどさ、日本でこういうイベントを開くことができるようになる日が、来なくてはいけません。トヨタやキャノンのような、真に国際的な企業が沢山ある中で、弁護士という世界でも、最低1つは、日本からこういう事務所を創らなければ・・・。


 車でいえば、アメリカでもヨーロッパでも、普段日本で乗り慣れたトヨタやホンダの車に乗れる、その1つで、どんなに日本人が安心して海外でドライブできることか。初めて米国で借りたレンタカーが某米国のものでしたが、微妙な勝手の違いで戸惑ったことを思い出します。


 同じように、法律家だって、世界的な、主要国のどこに行っても○○という日本発祥の法律事務所がある、ということになったら、どんなにビジネスがし易いでしょうか。勿論、現地に行けば「郷に従う」ので日本の法律事務所なんて他国では要らないという方も多いとは思います。しかし、それはいまは現実に多くの国でそんな事務所がない、選択肢がないから、不満を感じることがあっても,仕方ないと思っているだけかもしれません。もしも、選択肢を示してあげられれば、どうでしょうか。特に国益や人権が絡むような事案のことを考えると、そういう選択肢を日本以外の国できちんと準備してあげられることは、世界で頑張る日本人にとって,重要な気がします。


 夢のまた夢かもしれませんが、そういう事務所を創っていきたいです。いまの事務所がそういう事務所になれるなら、そういう事務所にしたいし、無理なら0から自分でなんとかしてみたい。羨望とため息で終わらせず、果てしなく勉強と努力をしていきたいと思います。


 「うちの事務所は国内・世界に30ほどオフィスがあるんです」と言ってみたい。

2ちゃんねる閉鎖


 2ちゃんねるドメインを差押にかかっている?方がいるそうですね。えらい祭りになっているようです。


 2ちゃんねるドメイン2ch.netなので、その管理は日本の団体ではなく、ICANNという米国カリフォルニア州PPBとする団体によって行われている訳です。


 で、ドメイン権は結局債権になるのだと思うのですが、債務者ひろゆき氏が所在する東京地裁に債権差押の申立を行った訳ですが、送達ができますかねえ。所在するのは、第三債務者であるICANNがある米国カリフォルニアということになりますが。。。まあ、日米ともに送達条約*1には入っていますので、できることはできるでしょうが。


 送達できたとすれば、差押の効果は生じます(いずれにしても時間は数ヶ月かかると思います)が、次にどう換価するのでしょうかねえ。。。


 勿論、ICANNは独自の紛争処理手続を定めており、ドメインの取得者は、取得時にこのルールに従うことに同意することをもって、その利用権を付与されています。そして、このUniform Domain Name Dispute Resolution Policy(UDRP)によれば、裁判所が具体的にドメインの移転や取消を命じる場合であれば、その確定判決を証拠として、このUDRPの仲裁手続によってドメインの移転・取消を行うことが可能です。その場合は、ICANNが日本の裁判所の判決に従う限りにおいて、米国の執行手続きが不要となります。

 しかし今回の債権者は、具体的にドメインを移転せよという確定判決を日本の裁判所で貰っている訳ではありませんので、こういった手法は不可能ですね。


 さあ、今後どうなるのでしょうか。

*1:Convention of 15 November 1965 on the Service Abroad of Judicial and Extrajudicial Documents in Civil or Commercial Matters