藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

問題、ちょっと変じゃないか?

 点数悪いのを人のせいにしてはいかんが、復習してみると、ええ、この聞き方で、これっすか?っていう問題がない訳ではない。

 あと、PMBRは問題集でも模試でもそうだが、解説が分かりにくい。

「だから実践が大事よ!」なんて解説で書くな!ちゃんと肢切りを教えろ。
 BarBriはまだ、その辺をちゃんと書いているけど、PMBRは最初から2肢くらいしか考えていない。いや、その絞り方は大抵は合理的なのだが、今ひとつじゃあ、何故この肢を誤選択肢として記載したのかがはっきりしないこともある。Hearsay(伝聞証拠)のところみたいに、連邦法がはっきりしているところなら、調べようもあるし納得できるが。

 いくつか納得行かない問題のウチ、特に納得いかないのが Question 158
 しかし、頭が混乱して正しい答えが分からなくなってきた。問題文も短いし、ここに書いてみよう。

Builder contracted in writing to construct a home for Ohner for $200,000. After 65% of the construction work had been completed, an earthquake destroyed the partially built structure. Prior to the earthquale, Ohner had made payments to Bulder totaling $90,000. Builder refused to rebuild the home due to other commitments. Ohner has now hired another builder who has agreed to perform the home construction for $210,000.

158. If Ohner sues Builder for breach of contract, Ohner is entitled to recover

(A) nothing, because the structure was distroyed by an unexpected force of nature
(B) $10,000, which reflects the difference between the two building contracts
(C) $90,000, which was the amount that Ohner previously paid to Builder
(D) $110,000, or the amount still owed under the terms of the original contract.

 ちなみに日本法の場合の解答は、請負契約であるから、双方に帰責事由のない本件の場合、債務者であるBuilderの履行義務は消滅しない(民法536条1項不適用)ので、Builderのrefusalは当然債務不履行を構成する。従って、債権者であるOhnerとしては、債務不履行の結果負うこととなった新契約による$210,000を損害として請求することとなろう($210,000が合理的な価格である場合)。契約を解除しないのであれば、残請負代金債務$110,000と相殺して100,000を請求することとなろう(遅滞損害金等を除いて単純に考える場合)。解除するとなれば、勿論上述のような構成も可能だし、別の構成としては、既払い90,000の不当利得返還請求権と、負担増となった$10,000と合わせた$100,000を請求することとなろう。
 
 ということで、正解がないのである。

 じゃあ米国法なら正解があるのか。
 米国法の場合も、やはりこの種の天災によってImpossibilityを認めることはできない(→(A)不正解)ということになる。そしてBuilderのrefusalはやはりbreach of contractであるから、Ohnerはexpectancy damageを請求できることになる。このdamageはいわゆる履行利益であるから、同様に、解除ないし相殺を考慮して金銭評価としては$100,000となる・・・ように思うのだが。

 ちなみに解答は(D)である。Risk (of Loss) should be allocated to the builder.という解説だけついているけど・・・。

 まあ、間違いに理由があることは良いことだ。本番での得点UPに期待しよう。
 全部復習終わってから、最終的な感想を書こうと思う。