藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

迷惑メール

朝日新聞電子版2007年1月16日付
http://www.asahi.com/national/update/0116/TKY200701160436.html

  架空名義で取得した電子メールアドレスを使って自社の出会い系サイトを宣伝するメールを大量に送信したとして、千葉県警は16日、東京都練馬区南田中3丁目、出会い系サイト運営会社「タクミ通信」社長広野喜三(よしみつ)容疑者(47)ら4人を、迷惑メール規制法違反(送信者情報を偽った送信)の疑いで逮捕した。同容疑者らは名簿業者から購入したとされる約230億件のアドレスを保管しており、06年夏の2カ月間の送信数は約54億通にのぼるという。


 あららあ。この方、ちゃんと名簿を持っているなら、ルールに従って送信してれば良かったのにねえ。ちなみに、ダイレクトEメールを送るときは、次の条文には注意しましょう。


特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(いわゆる迷惑メール防止法)
(表示義務)
第三条  送信者は、特定電子メールの送信に当たっては、総務省令で定めるところにより、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に次の事項が正しく表示されるようにしなければならない。
一  特定電子メールである旨
二  当該送信者の氏名又は名称及び住所
三  次条の通知を受けるための当該送信者の電子メールアドレス
四  その他総務省令で定める事項

(拒否者に対する送信の禁止)
第四条  送信者は、その送信をした特定電子メールの受信をした者であって、総務省令で定めるところにより特定電子メールの送信をしないように求める旨(一定の事項に係る特定電子メールの送信をしないように求める場合にあっては、その旨)を当該送信者に対して通知したものに対し、これに反して、特定電子メールの送信をしてはならない。

(架空電子メールアドレスによる送信の禁止)
第五条  送信者は、自己又は他人の営業のために多数の電子メールの送信をする目的で、架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信をしてはならない。

(送信者情報を偽った送信の禁止)
第六条  送信者は、自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として、電子メールの送受信のために用いられる情報のうち送信者に関するものであって次に掲げるもの(以下「送信者情報」という。)を偽って電子メールの送信をしてはならない。
一  当該電子メールの送信に用いた電子メールアドレス
二  当該電子メールの送信に用いた電気通信設備電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)を識別するための文字、番号、記号その他の符号

(措置命令)
第七条  総務大臣は、送信者が一時に多数の者に対してする特定電子メールの送信その他の電子メールの送信につき、第三条若しくは第四条の規定を遵守していないと認める場合又は架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール若しくは送信者情報を偽った電子メールの送信をしたと認める場合において、電子メールの送受信上の支障を防止するため必要があると認めるときは、当該送信者に対し、電子メールの送信の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 このうち、6条違反は重い(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)んですよねえ(32条)。

 他は、直ちに刑事罰じゃあないんですけどねえ。。。3〜5条違反については、7条の措置命令に違反した場合に初めて刑罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)です(32条)。


 迷惑メールを送る人は、海外から送信したから、日本の迷惑メール防止法の適用がない、と思っているのかも知れませんが(この犯人も中国から送信していますね)、でも届いちゃうのが、日本の電子メール宛であれば、実行行為の結果が日本で発生している訳ですから、日本の刑事罰の適用になっちゃいますねえ。このあたりは、わいせつ画像等の裁判でもあれこれ争われていますが、あれは、画像等を置いた側は誰が見るか分からなかった訳ですが、この迷惑メールの場合は、誰が読むか最初から分かって送っている訳ですから、より日本法の適用に正当性があると思います。


 この法律ができてすぐの頃は、みんな興味があったのか、結構この法律を守ったメールが多かったと思うのですが、最近のダイレクトメール(私宛に毎日数百通、多いときは1000通下さって・・・さすがに10年以上も同じメールアドレスだとえらいことになります)は、明らかにこの法律を無視しています。私もこの法律に従って通報しようかなー。