藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

最近中国人と話していて感じたこと。


 学生という身分を一般として見た場合の「世間」では、夏休みシーズンに入っています。
 ここ北京語言大学でも、続々と学生の夏休みが始まりつつあります。
 話によると、少なくとも日本語学科の学生さんは、上位学年から順に試験が終わるようです。
 今日もオトモダチのある学生が大連に帰って行きました。

 というわけで、今まで私の練習相手・お話相手だった方々が続々といなくなってしまうのです。
 勿論、代わりとなる方は確保できているのですが、ちょっと寂しいですね。
 まあ、中国人宿舎は、ここ語言大学も、となりの林業大学も、噂によると北京大学でさえ、クーラーがないそうなので、大学の寮なんかにいられるか!という中国人学生の気持ちも、分からないでもないです。


 今日は、彼らと話していて色々感じたことについて、まとまりなく書き留めておこうと思います。


(1)安倍首相、参議院選挙は大勝の予感??

 私のお付き合いのある中国人は、大きく分けると、(1)弁護士など法律の素養がある人々、(2)日本語を学んでいる人々、(3)それ以外、と分けられるのですが、(2)の方々に、日本の今回の参議院選挙について話を聞いたことがありました。どうも、彼らは、今の安倍首相がかなり好きなようです。安倍首相が、就任直後にすぐ中国に来たという点を捉えて、日中友好を重視する首相という印象を強く持っているようで、いま日本語学科の中国人学生を有権者として選挙させれば、おそらく過半数どころか絶対多数も確実、というのが私の印象でした。小沢さんも、あの国交正常化させた田中元首相の流れを汲んで日中友好に尽くしてきた経歴があることを話しても、はあ?という感じでした。


 この際、今回は外国人にも選挙権を認めたらどうでしょう>安倍首相


(2)就職問題+αについて

 私も、自分の事務所では修習生や事務員さんの採用活動に大きく関わってきた歴史がありますので、学生がどういう傾向を持っているか、ということについては、ここ中国でも強い関心があります。時に中国人に、色々なことを聞いてみています。


 ここは共産主義社会の国の筈なのですが、一言で言えば、「持てる者」と「持たざる者」の差がとても大きいなあ・・・だから、か、「大企業の一社員」よりは、「小さくても一国一城の主」になろうとする人が多いなあ・・・というのが、私の印象です。


 例えば、弁護士の世界の話をしましょうか。一部の外資系法律事務所や超巨大法律事務所を除いて、中国の法律事務所の勤務弁護士(アソシエイト)の初任給は、決して高くありません。5000元(日本円で8万円程度)以下が初任給ということも、決して珍しくありません。そして、これらの弁護士さんの事務所内での待遇、例えば机の大きさや座る場所は、いわゆる事務員さんの待遇と大差がないのが普通です。

 勿論、お店の服務員の給料が800元とか900元だと言われていますので、それと比べれば高給取り。でも、お客が払う報酬が、タイムチャージで1時間200〜300ドルと、他国の法律事務所の報酬体系と大差がないにもかかわらず、勤務弁護士がこの程度の待遇だというのは、やはり驚くに値するでしょう。

 また、法律事務所のホームページを見ても1つのことに気付くでしょう。全ての法律事務所ではありませんが、多くの法律事務所で、勤務弁護士の紹介がないのです。日米の法律事務所では、普通、ホームページにおいて、勤務弁護士といえども、経営者弁護士同様に、学歴や職歴、保有資格等の紹介があるもの。そういうのに見慣れていると、強い違和感を覚えます。


 要するに、この国の法律事務所では、他国と比べて、経営者弁護士に利益が集中する仕組みになっていると思います。持てる者と持たざる者の差が相対的に大きい。だから、巨大事務所が日米の水準と比べても、より急速に発展できるのだとは思います。丁度、中国の料理店の服務員が、他国の料理店の従業員よりも沢山いるように、事務所の勤務弁護士を安く沢山雇うことが可能なのです。


 すこし法律事務所の話が長くなりましたが、これは中国全体に共通して言えることだと思います。
 だから、学生も、1つの企業で下っ端として留まることを余り良しとしないように感じます。


 とにかく、大きな会社か小さな会社か、よりも、ポジションが重要であると考えていると思います。
 勿論、大きな会社の下っ端でも、良い仕事ができるなら、彼らは歓迎して一生懸命仕事するでしょう。しかしそれは、その会社に忠誠心があるから、ではなく、そこでの経験を生かして、将来独立すること等ができると考えているから、と思った方が、より正しいように感じます。


 結果として、色々なこだわりがあるからでしょうか、プライドの問題もあるからでしょうか、中国人大学生のうち、年間20万人もの人が就職できない、という話があります。まあ、人口が13億以上いる国ですので、20万人という数がどれだけインパクトがあるのか、正確には分からない面もありますが。。。


 勿論、料理店の服務員としての仕事なら、あるわけですが、大学や大学院を出た学生達は、自分たちに相応しい仕事を、と思って探す訳で、ここにミスマッチがある訳です。中国では、大学院等への進学率が急速に上がっているのに、社会全体でそれに相応しい仕事がそれほど増えていない、という問題があるように感じます。結局これは、社会全体の中間層が、まだまだ裕福になりきれていない証左のようにも思います。


 国全体の国力を測るときに、単純に合計された国力というのも重要かもしれませんが、どれだけの多く人が、それなりに豊かな生活をできるのか、ということがより重要かもしれない、ということを、この国にきて、強く感じるようになりました。もしも、中国の一般の人の生活水準がいまの二倍であれば、言われているような食品等の問題は発生しなかったかもしれません。貧しい人の生活水準が低いままだと、その購買力で買える食品等がなければ、国が成り立たない訳ですが、もしも、その人達の生活水準が良ければ、国全体に、もっと良い食品等が普及したでしょうから・・・。



 日本という国は、色々批判されますが、アメリカや中国と比較して、ここまでは間違った道を歩んでいなかったのではないかなあ・・・と思います。問題は、ここから、なんでしょうけどねえ。