藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

知的財産権の濫用


 中国では、知財の問題は結構色々と議論され始めています。
 みなさんも、北京の「著作権違反」遊園地は記憶に新しいでしょう。


 さて、その中国ですが、最近別の2つの集まりで、中国人から、「知的財産権の濫用」というテーマの報告を聞く機会がありましたので、ちょっと面白いなと思って書かせて貰います。


 簡単に述べると、最近中国は、「知財の保護」が強調され過ぎていて、権利者がその権利を濫用する傾向または可能性が散見される、これは行き過ぎでけしからん、という論調です。例えば、重要な特許技術の独占的かつ長期間のライセンスなどは、その技術の有用性を損なうものでけしからん、という論調もあります。関連して、中国で来年から施行される独禁法にも、特許など知財については、独禁法の原則不適用が明記されつつも、濫用はダメという規定があり、いったい濫用とは何を指すのか、議論が盛んですが、私が聞くと、これは濫用とはいえないのでは??というようなものも「濫用」と言われているようも感じます。


 そもそも、中国の知財保護はまだまだであり、その最大の問題は、私などは損害賠償額が極めて低額であることにあるように感じます。要は違反してもちょっとお金を払えば済んでしまうので、抑止力として弱いのです。これで「知財の保護」が強調されすぎる、と言われたら、ちょっとなーというのが率直な印象ですが、それでも過去と比べると・・・ということなのでしょうねえ。


 確かに、歴史的に後進国知財をないがしろにする傾向がある訳で、米国だって、18世紀19世紀あたりまでは知財保護に積極的ではなかったわけです。しかし中国は既に、少なくとも中進国と言える地位にはいるわけで、「濫用」という「大義名分」で知財保護をおろそかにすることがあってはならない、と思うのですが・・・。しかし法律家が言っている訳ですからねえ・・・。


 日本は逆で、近時知財の保護が強調されすぎているかもしれない、と思うことがいくつかあります。しかしこれも感覚的なものかもしれませんし、バランスが難しいですね。