藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

中小企業がどうやって中国とのビジネスで生き残るか


朝日新聞電子版2008年2月9日付
【輸入商社「存亡の危機」廃棄もできず ギョーザ事件】
http://www.asahi.com/national/update/0209/TKY200802090055.html

中国製ギョーザによる中毒事件で、製造元「天洋食品」と取引があった国内の輸入商社が在庫の山にあえいでいる。商品を自主回収したものの、厚生労働省や捜査当局からいつ「提出」を求められるかもわからず廃棄処分もできない。代替商品の納入が間に合わず、顧客から損害賠償を求められている会社も。「会社存亡の危機」と悲痛な声が相次いでいる。

 厚労省は1月31日、07年に天洋食品から企業19社が計3845トンを輸入したと発表し、天洋食品製の販売・使用の中止を要請。取引実績があるすべての輸入業者が自主回収を求められた。

 天洋食品から牛丼の具材を輸入していた太洋物産(東京)は約1700万円分を自主回収。損害保険が適用されるか調べたが海上運送に関する保険しか加入しておらず、「おそらくダメでしょう」(広報担当者)。

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 輸入商社「日佳食品」(大阪市北区)の伴卓馬社長は「この商品はもう売れない。3000万円分がパーですわ」と嘆く。事件後、自主回収した商品は30トンにのぼる。会社は伴社長が1人で切り盛り、取引量の4割を天洋食品製が占めていた。


 ビジネスには常にリスクがあります。
 同じ数量の取引をするときに、大企業と中小企業の最大の違いは、このリスクに対する「体力」の差ともいえ、何か問題が発生したときにこの差は顕著に現れます。


 特に、中国との貿易は、言葉の面でも、制度の面でも、そして今回のような安全の面でもリスクがあるので、中小企業には本当に厳しい市場であるといえます。


 しかし、中小企業の辛いところは、大企業よりも良くない条件で、より安く、より良いモノを供給しなければならないという点です。そう考えると、業種によっては、中国に頼るしかないというところもなくないでしょう。


 このような企業が中国でビジネスをするのに大事なのは何でしょうか。すごく当たり前過ぎることではありますが、いくつか挙げてみたいと思います。


 第1に、誰もが言う事ですが、何故中国に進出するのかという目的意識でしょう。
 リスクがあるのは確かですので、それを超えるメリットが本当にあるのかどうか。
 なんとなく中国では、絶対にうまくいかないでしょう。


 第2に、正確な知識でしょう。中国は人治か法治かという問いについては、YesでもありNoでもあります。また、中国は広く、広州で通用する常識は上海や北京では通用しないということもあります。これは法律でも同じで、国家法律や行政法規、最高裁の司法解釈とは別に地方の上級法院の規則や地方政府の行政法規にこれらにはないルールが定められていたりします。


 第3に、法治だとしても、やはり人脈は大事でしょう。中国人は、全てが信用できるわけではないですが、信用できる方は非常に「熱情」(らーちん)。うまく付き合えばこれほど楽しい相手はいません。


 第4に、やはり語学も大事だと思います。私もまだまだですが、日本人であれば頑張れば中国語はちょっとずつ、しかし英語よりも早く上達するので、しっかり頑張って少しでも生の情報をつかみ、中国人と直接交流できるようになることが大事でしょう。多くの教養ある中国人は英語もできますが、やはり英語より中国語で会話する方が楽しいです。


 以上は、私自身に対する忠告でもあります。中国にいると、魔法にかかったようにその魅力にとりつかれてしまい、また時間があまりに早く流れるので、なかなかゆっくり考える暇がありませんが、残り少ない今回の中国滞在でも、また将来また中国とかかわる時にも、私自身が注意したい点です。