渉外弁護士の仕事


 弁護士という職業は、医者同様、1つの資格です。
 医者に、外科、内科、小児科があり、弁護士にも、知財、倒産、渉外、一般民事等々の分類がありますが、資格としては1つです。


 また、同じ「渉外」の弁護士でも、それぞれに業務分野が異なります。


 私の場合は、大阪での業務の割合が一定以上ありますので、「渉外弁護士」でありながら、結局日本国内の普通の業務が一定割合あるという意味で、東京の渉外弁護士さんとはちょっと違うところがあると思います。現時点のイメージでいえば、どこかに中文・英文・中国法・英米法が出てくるような仕事が、全体の半分強ありますが、全くそんなこととはない仕事も、半分弱あるかな、という感じです。


 ところが、国内業務をしていると、依頼者がたまに困惑したような顔をするのです。


「先生すみません、どこにも英語が出てこないんですが・・・こんな小さな事件で」


 ニューヨーク州カリフォルニア州の弁護士資格が邪魔をしているのでしょうか。


 うまく言えませんが、渉外弁護士の仕事は、野球でいう監督のような仕事に近いと思います。他国の法律を自ら理解した上で、しかし他国の弁護士にあれこれやらせなければいけません。自分でもできるのです(実際相当部分は準備します)が、費用面(例えば、NYの仕事で全て自分で受けて、NY現地に毎回行くと大変です)、また弁護過誤(Legal Malpractice)のリスクを考慮すると、どうしても他国の弁護士にやって貰うしかない業務というのがあります。そうすると、自分で生の仕事をする割合が減ります。渉外弁護士としてこの監督業自体やらねばならないのですが、しかしこればかりやっていると、弁護士本来の業務に対する、いわば「選手」としての勘がにぶります。これは、渉外弁護士の監督業であるが故の宿命のようなところです。だからという訳ではありませんが、暫くは、「監督兼選手」として業務を行うべく、国内業務もある程度やっていきたいなあと思う次第です。


 英語も中国語も出てこなくても、喜んで仕事をさせて貰っているのは、渉外弁護士ではできない仕事というのが、そこにあるからだと思います。


 ところで、私は東京の仕事の割合も低くないのですが、東京と大阪での渉外弁護士としての仕事も、全く違うと思います。


 大阪で渉外業務をすると、


「先生、○○○がやりたいので、その全て、お任せします」


・・・と、どでかく、丸々を依頼されることもしばしばです(東京ならば、委任の内容がもっと詳細・具体的になることが普通です)。企業内で言えば、経営企画室とか、海外事業室としての仕事のようなことがコミコミで依頼されるようなことがあるのです。


 つまり、金額とかで言えば、デカイ仕事は確かに東京なのですが、弁護士として、「広く」仕事に携わるという意味では、大阪での経験も、そう悪くないと思うこともあります。このおもしろさが、私になかなか東京行き決断させない原因の1つになっている気がします。


 ということで今日も今から仕事です。