藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

サービス

 NY州司法試験から戻ってきました。
 LAで色々な雑用をこなしています。
 今は久々にUCLAの図書館でこれ(つれづれ)を更新。やっと金融商事判例の4月1日号が図書館に入っていたので、ぱらぱらとUFJ判決を斜め読みしていたところです。

 さて、この東海岸遠征では、米国の公共交通機関(飛行機、Amtrak)の遅れやキャンセルに悩まされました。日本ではあり得ないような事態。そう、日本のJRなら、特急2時間遅れて特急料金払い戻しですよねえ?正確で当たり前。しかしこっちは遅れてあたりまえ。サービスの品質は、契約内容ではない、かのような感じです。

 少し離れた色々な人と会う機会があり、米国の交通事情について話しをしながら、日米比較をしていて感じることは、やはり日本人のPunctualなところ、Politeなところのすばらしさですね。我々の国はやはり捨てたもんじゃない。米国みたいに、切符を買ってまったら、それで終わり、遅れても文句言えない、キャンセル待ち?もう今日の便はないよ、みたいなことにはならない。そこで丁寧に応答し、丁寧にもてなしたからといって、確かに新たにお金を稼げる訳じゃないけど、お金じゃなく、きちんともてなす、そのもてなしの心、これは米国にはない、素晴らしいところ。

 もう少し大きな視点で考えると、法律業界の日米比較にもなるなあ、と思います。
 米国では、そんな「もてなしの心」がタダでは出てこない。だから、きちんとした「もてなし」のためには、高いリーガルフィーを払って、マトモな弁護士を雇わなければいけない。ところが、日本は、それなりの「もてなし」は出来て当たり前。サービスといっても、それなりの「もてなし」はお金なしで出て来て当たり前。だから、今ひとつ弁護士業界に高いリーガルフィーを払う習慣が根付かない。そんな違いがあるのかも・・・と思いました。

 そう、例えば田舎に行けば、離婚の調停のようなことを、地域の人や、お坊さんがやっていることがあります。私の担当した事件でも、実際弁護士(私)が出ていく前にお坊さんが仲介をしていたことがありました。そのお坊さん、普段はお布施を貰っているかも知れないし、その仲介の労で何か謝礼の品は受け取っているかもしれないけど、この仲介業でお金を貰っているかといえば、否でしょう(まあ貰っていたら弁護士法違反だからというのもあるかもしれませんが)。弁護士業の大半は、かつて、「もてなし」で片づいていたことなのかもしれません。

 しかしまあ、私もこの「弁護士」という職で食っていかなきゃいけない。いっつもタダという訳にはいかない。特にいいサービスを提供するには、それ相応のお金を貰わなきゃいけない。しかし、日本人としての「もてなしの心」と、その根底に流れる精神は、決して忘れたくないなあ、そう思った1週間でした。