藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

訴訟の違い

 LAで働きはじめて2ヶ月近くが経過した。
 依然としてまあ大した手伝いができる訳ではないので、日本で自分のやりたいようにやっていた頃と比べたら「むずむず」してしまうのだが、しかし訴訟部に配属されたお陰もあり、日米の訴訟の相違もだいぶ身をもって理解しつつある。

 訴訟の準備に関して言えば、アメリカの訴訟の方が本格的だと感じる。
 勿論その主たる理由は、Discovery手続と伝聞証拠原則禁止にあると思う。
 例え裁判で使えないような書面であっても、Discovery手続で広く相手方より収集し(だからDiscoveryの準備は、完全なデューデリジェンスになる)、伝聞禁止であるから、相当細かいことまでDepositionで証人候補から聞き出す。Depositionでは、なんと1人のWitnessから1日7時間まで聞いても良いのだ。Depositionは裁判所が指揮する証人尋問ではないが、日本の証人尋問で1人から7時間も聞くことなんて、そう滅多にあることではない、というか、私はそういう経験をしたことがない。日本なら普通の裁判であれば主尋問・反対尋問合計で1人40分〜2時間で終わってしまう。普通証人尋問に取れる時間が午前1時間半、午後3時間なので、まあ足し算すれば日本では7時間は不可能だろう。それがここでは本当に(Depositionで、ではあるが)7時間聞くのだ。

 こうして見てくると、日本の民事訴訟が本当に箱庭に思えてしまう。

 いや勿論、今は大きな相違点ばかりに目がいってしまい、日本の良さを分かっていないかもしれない。準備書面そのものや請求原因の書き方など、技術を要する書面の細かい部分では日本の方が優れていると思う。最初、判決書を見た時は、また今でも、日本の判決書の方が説得的だと思っている。ただ、もっと大きな枠で、真実の発見という目で見た場合は、なんちゅうか、アメリカの民事訴訟の方にダイナミズムを感じてしまうのだ。