藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

直接会う v. 電子メール


 今週あれこれ考えたこと(まだ大事な金曜日が残っているけど・・・明日は6時起きで事務所に向かう予定)、まとめると、「直接会う v. 電子メール」って標題がぴったりな気がして、つけてみました。

 実はごくごく限られた事件で、日本の事件について、日本の事務所の後輩アソシエイトや、他の事務所の弁護士と仕事していますが、私が原案で作った内容証明郵便の案に、その共同受任者が奇異に感じたみたいでした。何故って、私が送付主として弁護士名・住所・電話・FAXのほか、電子メールアドレスも書いたからです。

 確かに私も日本にいたころ、電子メールアドレスまで書いて内容証明を送ったことはなかった気がします。しかしこちら米国で文書を書いていると、そういう郵便や訴状の類に、代理人弁護士が電子メールを書くことは、むしろほぼ当然になっていると思います。


 インターネットの普及という意味では、日米にそう差があるとは思えないのですが、打ち合わせや交渉を直接会って会議室でやるか、電子メールで済ませるか、という点については、日米で大きな差があると感じます。1つの証拠が、会議室の利用率です。アメリカの法律事務所は、私のところもそうですし、今週伺った別の事務所もそうらしいのですが、かなりの確率で会議室はがら空きだそうです。それでも仕事をしているのです。会わなくても、電子メールで事足りると考える訳です。仮に電話かかってきても用件以外のことを話すのは稀です。

 日本ならどうでしょう?勿論電子メールも使うでしょうが、お客様はかなり頻繁に事務所に来る方が多いように思います。電話も長いことが多い。まあ私が大阪の弁護士だったので、1つには事件の単価が安く、事件数が全く違っていたということもあるし、1つには大阪人は喋りたがりというのはあるでしょうが、そういうのを加味しても、企業の顧客であれ、個人の顧客であれ、打ち合わせの数は、同じような事件を米国のお客様でやった場合と比較すると、圧倒的に多いと感じます。

 弁護士を労働者としてもし捉えたなら、このアメリカ式は、クールで、スマートで、良いと思います。なにせ、昼間に仕事ができるんです。日本の弁護士生活を思い出すと、基本的に昼間は会議と電話の連続でした。昼間に訴訟の書面を作成したり法律上の問題を調査するなんて殆どできません。ところが米国では会議が絶対的に少ない。書面も調査も昼間にできます。だから米国の弁護士は夕飯前に帰れる訳です。


 日本流だと時間はかなり取られます。ただ、人間的には成長する余地が大きい。尊敬すべき相手とゆっくり話せるっていうのは、自分に余裕があればかなり有意義です。それに、仕事を深く知るには、やっぱり直接会って聞かなきゃ。特に争訟性のある事件では、メールで貰うデータだけでは事件の本質が分からないことが多いです。


 個人的には、日本流と米国流の折衷なら、多少なり帰る時間も早くなりつつも、良い仕事ができるんだろうなあ、と思うのですが、どうでしょうか。


 ちなみに、今週は人と会うことが多かったので、書面の作成や調査という意味では余り進みませんでしたが、とても充実感があるのは事実です。実は日本人は(というか私は)、「時間取られる」とかいいながらも、こうやって人と喋らないと楽しいと思えないひとなのかもしれません。やっぱり日本流かな?俺は。ダウンタウンにいる皆さん昼飯or夕方Barでも行きましょう。