藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

中国の弁護士事務所の実態あれこれ


 まだ、仕事開始してませんが、時々所要で事務所に顔を出して雑談をするうちに、中国の弁護士(律師)事務所の実態が色々と分かってきました。その一部を書いてみます。


 第1に、存在形態ですが、現在4種類あるそうです。
 しかし、そのいずれを採っても、日本同様、全てパートナー(合伙人)は、無限責任を負わされます。ところが、中国では、上司の話によれば、既に会計事務所は有限責任が認められており、弁護士についても、有限責任化の議論が盛んです(詳細については、例えば「上海律師」の今年6月号をご覧下さい)。これは、外資系法律事務所が中国に多数乱入しており、英米の法律事務所の組織形態に習おうという気風があることも、1つの原因ではないかと思います。それに比して、我が国の弁護士業界では、いまだ弁護士にLLPやLCで有限責任を認めようという気配がないのは、なんとも悲しいことではないでしょうか。まるで、我が国の法律業界だけ、孤立したいかのような、日本の権益さえ守れればそれで良いと思っているような気すらあるのではないかと、勘ぐりたくなります。


 第2に、雇用形態ですが、パートナー(合伙人)以外に、いわゆるアソシエイトっぽい勤務弁護士と、あと、オフカウンセルというか、「歩合制」の弁護士がいるようです。日本でいえば、いわゆる「ノキ弁」も、この形態に入ってしまうかもしれません。自分で売上を上げて、その3割程度を事務所に納めるのが一般的という話です。3割というのは、何とも「歩合制」側に有利に感じまして、この点を私も聞いてみたのですが、そうしないと、別の事務所に移っていってしまうかららしいです。なかなか上海で良い弁護士を採用するのは難しいようで、それでも事務所に居てもらうことにメリットを感じることがあるようですが、逆の場合は、なかなか辞めさせにくいようで、中国で「歩合制」を雇うにはリスクがあるなあ、と感じました。


 ところで、弁護士会費がいくらなのかも、気になるところです。
 上海では、年間2000元、つまり3万2000円程度だそうです。
 ニューヨーク州よりもやや高く(登録費用は2年で350ドルだったと思います)、カリフォルニアよりは安いですね。日本と比較・・・できません。やっぱり日本だけ高すぎるのです。日本の弁護士会だけ、世界から取り残されるのではないか、というのを、この会費面でも感じずにはいられません。


 そんな安い会費でも、上海律師協会の若手の間には、「値下げ運動」があるらしいことも、付言しておきます。