藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

時代錯誤と時尚


朝日新聞2008年1月19日付電子版
【元日弁連会長の「非行」議決 回収機構債務者から顧問料】
http://www.asahi.com/national/update/0119/OSK200801190067.html

 日本弁護士連合会元会長の鬼追(きおい)明夫弁護士(73)が整理回収機構(RCC)の社長当時、その債務者だった不動産会社から月10万円の法律顧問料を受け取っていたとして懲戒処分を請求され、所属する大阪弁護士会の綱紀委員会から一定期間について「弁護士の品位を失うべき非行にあたる」との議決を受けていたことがわかった。鬼追氏はすでに顧問を辞めており、「厳粛に受け止める」と話している。今後、同弁護士会の懲戒委員会が業務停止や戒告などの処分にするべきかを決める。

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 不動産会社の社長は03年12月20日、大阪市北区の法律事務所に鬼追氏を訪ね、機構の債権回収の手法や職員の態度について強い不満や苦情を訴えた。鬼追氏は社長に対し、機構の苦情相談室に書面で伝えるよう助言し、「改めるべきは改めることになろう」と述べたという。鬼追氏によると、社長当時、不動産会社に対する債権は数十億円あったとされる。

 綱紀委は議決で、不動産会社長との面談後は「両社に実質的な利害対立が生じた」と指摘。この日から機構社長退任までの間に顧問料を受け取ったことは、「受任事件の相手方からの依頼事件」を行うことを禁じた日弁連の職務規定に反して弁護士の「非行」にあたると判断し、懲戒委に審査を求めるとした。

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 鬼追氏は、大阪弁護士会会長や日弁連会長を歴任。85年、豊田商事事件では同社の破産管財人を務めた。


 一言でいえば、非常に残念なニュースです。これだけ倫理的な問題が厳しくなっている中での、時代錯誤な対応でした。


 また、おそらく多くの人に「また大阪弁護士会か」と言われるのが目に見えていて、忸怩たるものがあります。考えてみれば、オウムの青山元弁護士も、同じく日弁連会長となった中坊元弁護士も、衆議院議員の西村元弁護士も、みな大阪弁護士会でした。


 しかし振り返ると、そもそも、弁護士会の会長を務める人が、60代の、既に「できあがった人」であることがもしかしたら原因かも知れないなあ、とも思います。


 ここ上海の弁護士会の会長は、なんとまだ30代で、IPOの専門家。超売れっ子です。いままさに「時尚」な(時代の流行を行く)弁護士さんです。・・・いくら大物であっても、60代の弁護士に、その将来の弁護士会を本当に担うことができるのか、実際に30代の会長というのが存在すると知ると、そんなことを考えさせられてしまいます。


 上海の弁護士会も激流の中にいますが、日本の弁護士会も、中国に負けず劣らず、改革の荒波の中を舵取りしなければいけない重責にある筈であって、名誉職では決してありません。司法改革への対応も、非常に難しい。大阪弁護士会は、更に難しい問題がいっぱいありますが、いつも保守的な対応で私が非常に悲しい思いをしているのは、ここの読者もご存じの通りです。


 現在、弁護士が激増しており、若手が弁護士会内に占める比率がどんどん高くなっています。他方で、若い人は生活に一生懸命で、弁護士会の会務に力を向ける余力がないというのもまた事実であり、この若い人の無関心のために、年の方々は弁護士会の要職を占めていくことができているとも言えるかもしれません。このような状況は、結果的に、弁護士会の活力を失わせることになりかねません。


 早いウチに、大阪でも30代の会長を出さなければいけないかもしれませんね。
 弁護士会の会務が、仮に若手の負担にしかならないなら、思い切って大胆にスリム化し(特に事務局の削減による人件費のカット)、それにより会費も大胆に下げ、会務も、無駄な会議を減らし、また、事務局が会議に付き合う必要がなくなれば、早朝や深夜といった、もっと仕事で使わない時間帯に会務ができるようになりますしねえ。


 え、私?


 まあ、私は、大阪弁護士会の会長になるくらいなら、だれかさんのように、大阪府知事を目指します。うーんでも、大阪府知事よりは、私の人生目標たる世界平和の実現に近づきそうな広島市長がいいかなー。


 取りあえず、このような懲戒にかかることのない、マトモな弁護士を目指します。私自身まずは注意ですよね。