藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

臨時総会の結果報告


 法曹養成制度についての話し合いを行う、日弁連の臨時総会に出席してきました。


 結果だけ申し上げると、執行部案(第1号議案)が賛成多数で可決され、「まず当面1500」なる決議が通った訳ですが(そして請求者案(第2号議案)である「直ちに1500、可及的速やかに1000」は否決)、私共が訴えた、「年間1500名以上輩出されるようにし、かつ、現在の年間1800名の水準を十分考慮し、急激な減少をさせない。」という「第三案」についても、第1号議案に対する修正動議として提出させて頂き、ご審議頂くのに必要な50名の賛同は得られたので、審議の対象として議論して頂きました。

 (第三案の詳細については、http://www.fujimotoichiro.com/160311proposal.pdf http://www.fujimotoichiro.com/160311compare.pdf をご覧下さい)


 まずは、拙い提案であったかもしれませんが、私共の提案にご賛同頂いた方々、また、賛同はしなかったにせよ、耳を傾けて頂いた方々にお礼申し上げます。


 出席して頂いた方には、多分、私共の訴えたかった点が伝わったのではないかと思います。私共は、司法試験合格者数をただ減らすばかりでは、法曹志願者の増加につながらない、制度に安心を与え(=1500名を下限とする)、先輩として、将来の法曹に対し、仲間になって欲しいというメッセージを伝えること、そして弁護士法1条のいう社会正義の実現を、より多くの法曹によって達成したいということであったと思います。


 私共の提案に賛成討論をして下さった河崎会員、多田会員は、それぞれ若干私と立場は異なりましたが、いずれも法科大学院卒の若手弁護士として、若手が必ずしも急激な減員を望んでいる訳ではないことを立論して下さったと思います。合格者を絞り込むという手法で質を確保するという第2号議案に対し、ならば現役の弁護士も資格更新制度を導入してはどうか?それが嫌だというのであれば、若手を「ダシ」にして自分たちの権益が守りたいだけだ!と切り込む河崎会員の立論は特に説得的であったと思います。

 
 あまり第2号議案を悪く言うのは本意ではないのですが、第2号議案の賛成討論をされた先生方が年配の先生ばかりであったこと、また、その内容が余り本筋と関係がない先生が散見されたこと、更に司法試験を厳しく難しくすれば質が保たれると考えておられること、経済的な収入の話がものすごく多かったことが、強く印象に残りました。そこから見えてきたのは、結局、若手が食えなくて困っているという請求者側からの議論は、空想とまでは言わないにせよ、論拠としてそれほど強くないのではないか、というものでした。本当に困っているのであれば、何故そこで若手が賛成討論をしなかったのか、不思議でした。

 
 他方、第1号議案(執行部案)の賛成討論は、そのまま第3号議案の賛成討論に使えそうなものが目立ったように思います。法科大学院を中心とする法曹養成制度を「死守」する義務はないですが、いまある制度を改善しつつ発展させる、これは私共と同じ考えでした。そしてそうであれば、法曹志願者が激減する可能性が高まる司法試験合格者減を推進すべきではないのであり、自然と私共の議論したような、緩やかな減員になるのではないかという気もしました。


 懇親会も盛り上がりました。何より私は、この素晴らしい弁護士という仕事が、とても楽しいものであって、後輩に勧めたいと思う若い弁護士が多数いたことに勇気づけられました。全体として、結論としては1号議案の賛成多数となりましたが、恐らく今日の議論、私共の議論が多少なり生きてきて、将来の法曹志願者を増やすためにも、そう簡単に司法試験合格者数を減らすべきではない、という方向に行くような気がしています。私共はいまは少数派ですが、今後新しい司法試験合格者が弁護士になっていくにつれて、多数派になるかもしれませんしね!


 この縁を大事にしていきましょう。再見!