藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

Gotoトラベル事業をこのまま許して良いのだろうか?今こそ司法の力で、疑問を提起するべきではないか?

ぎーち(弁護士の藤本一郎)です。

GoToトラベル事業、ってご存じですか?

観光庁のHPに説明がありますが、要するに、旅行代金の半額を補助しようとする政策です。

この「Gotoキャンペーン」には、5つの事業があるのですが、その総予算規模は、1兆7000億円、Gotoトラベル事業だけでも1兆3000億円と、巨額です。

その目的は、次のように説明されました(補正予算資料の3頁目をご覧下さい)。

新型コロナウイルスの感染拡大は、観光需要の低迷や、外出の自粛等の影響により、地域の多様な産業に対し甚大な被害を与えている。

このため、新型コロナウイルス感染症の流行収束後には、日本国内における人の流れと街のにぎわいを創り出し、地域を再活性化するための需要喚起が必要。

(まずは、感染防止を徹底し、雇用の維持と事業の継続を最優先に取り組むとともに、)今回の感染症の流行収束後において、甚大な影響を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメント業などを対象とし、期間を限定した官民一体型の需要喚起キャンペーンを講じる。

なるほど、「流行収束後」に、需要喚起キャンペーンをすることは、結構だと思います。私も、温泉行きたいし、旅行行きたいです。

 

では、新型コロナウイルス感染症の「流行収束」はしたのでしょうか。新規感染者数を見て見ましょう。

 

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感染者数の推移(全国)

どうでしょうか?どう見ても、第二波が押し寄せていると感じませんか?上記は、全国ですが、これを東京都に絞ると更に明確になります。

 

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感染者数の推移(東京都)

東京都においては、7月9日の新規感染者数が224名、7月10日の新規感染者数が243名と、緊急事態宣言の発令されていた期間の1日あたりの最多数であった4月17日の206名を超える日が2日連続で発生しており、7月10日迄の7日間平均の新規感染者数も142名にも達しています。

 

緊急事態宣言の解除の際に、解除や再発令の目安として、以下のようなものが説明されました(「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」ご参照)。

以下の3点に特に着目した上で、総合的に判断することとしている。

① 感染の状況(疫学的状況)

オーバーシュートの兆候は見られず、クラスター対策が十分に実施可能な水準の新規報告数であるか否か。(例えば、直近1週間の累積報告数が10万人あたり0.5人未満であるか否か。)

② 医療提供体制

感染者、特に重症者が増えた場合でも、十分に対応できる医療提供体制が整えられているか否か。(例えば、重症者数が持続的に減少しており、病床の状況に加え、都道府県新型コロナウイルス対策調整本部等により患者急増に対応可能な体制が確保されているか否か。)

③ 監視体制

 感染が拡大する傾向を早期に発見し、直ちに対応するための体制が整えられているか否か。(例えば、医師が必要とするPCR検査等が遅滞なく行える体制が整備されているか否か。)

このうち、10万人あたりの1週間の新規感染者数(=累積感染者数)が0.5人未満か否かについて、仮に東京都の人口(約1400万人)を基準に考えるならば1週間あたりの新規感染者数が70名未満か否かで判断することになります。

かかる基準に照らせば、少なくとも東京都は、1週間平均が、この70名の倍の140名を超えている訳ですから、再度緊急事態宣言を行う必要がある感染状況にあると言い得ると思いますが、いかがでしょうか?

 

このような状況ですが、政府は、7月10日、このGotoトラベル事業を7月22日から開始すると宣言しました。流行収束後、ということで、予算を通したのですよね?しかし、流行は収束していないと思いませんか?

先述した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」においても、

国民の生命を守るためには,感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会機能を維持することが重要(1頁)

肺炎の発生頻度が,季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高く,国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある(2頁)

と明記されています。新型コロナウイルス感染症が収束した後にお金を使って支援するのは良いと思いますが、このような状況で、1兆3000億円の予算を使って、国民の生命を害してもいいのでしょうか?

 

本来、このような政策は、政治の役割です。国家予算は、国会で決めます。行政は、決まった予算を執行します。しかし、「流行収束後」に使うといった予算を、「流行収束前」に大規模に執行するのは、行政の裁量権の逸脱・濫用にあたるのではないでしょうか?

 

このような観点から、私は、この予算の執行について、行政訴訟又は民事訴訟で差止をすることを検討しています。行政訴訟については、法的には、恐らく取消訴訟+執行停止申立が一番整合するとは思いますが、行政処分性があるものは一体何なのか、つまりは、取消の対象は何かが非常に悩ましいです。民事訴訟については、国民個人の人格権侵害(生命・身体に対する侵害等)を訴えるやり方を考えています。ただ、7月22日に執行が予定されていますので、保全手続(仮処分)が良いと思います。現時点では、まだ決めていませんが、とにかく、待っていたら7月22日が来てしまいますので、数日以内に確定して、やりたいと思います。

訴訟の目的は、勿論、そのような予算措置を差し止めることですが、最終的には、仮に裁判に勝たなくても、このような運動を通じて、国民の危機感が政府に伝わり、Gotoトラベル事業の開始が延期されるというものでも良いと思っています。つまり、裁判は、Gotoトラベル事業の開始を延ばすための一手段だと考えています。勝訴を保証することはできません。厳しい道だと思います。

 

なお、これを政治的に反映したいという思いはありますが、これで自民党をやっつけたいとか、立憲民主党共産党に加担したいという思いはありません。私は、ただただ、国民の安心・安全が確保され、皆が新型コロナウイルス感染症にかからず、健康に過ごせるようになれば、それで良いのです。

勿論、私も経営者ですから、経済が回らないことはとても困ります。私自身、5月6月については、経営する法律事務所の売上に打撃を受けました。私自身、経営者として、この売上を回復するために色々と頑張っています。しかし、それとは別に、いち国民として、このような国民の安心・安全をないがしろにする政策はまずい!という本能から、この文書を書いています。政府も、いまの経済対策は、これ以外で頑張るべきだと思います。

 

そこでお願いがあります。

第1に、私は弁護士であって訴訟代理人になることはできますが、原告本人になることは難しいです。原告になっても良いという方、下記フォームから、申込をして頂けませんか。なお、実費としての費用がかかります(はっきりしませんが、3万円程度はかかると思います)。ただし、もし保全に成功した場合には、担保を積まなければいけないので、その点は、もしうまくいった場合には、考えないといけません。

docs.google.com第2に、一緒に考えて行動してくれる弁護士さん、いませんか?

勿論、上記のとおり、実費程度でやるつもりですので、弁護士の売上にはなりません。また、もしも原告が多数登場したら、色々やらないといけませんが、私1人ではやれません。

docs.google.com原告と一緒にやってくれる弁護士が現れたら、私も頑張ります。

誰もいなかったら、ごめんなさい、書いただけで、何も行動できないかも、しれません。

私としては、私を励まして、一緒に戦ってくれる原告候補・弁護士が沢山あつまると嬉しいです。是非Zoomか何かで打ち合わせしましょう!

なお、うまく送れない場合は、twitter ifujimoto で連絡を頂くのでも構いません。

 

以上よろしくお願いします。