共通の言語
さきほどの記事に合格者3000名でも良いと書いた趣旨がうまく表現できていないと思ったので、ちょっと書き足します。
我々日本人は、やっぱり日本語を使ったら、一番うまいこと意思疎通することができます。
法律家として、同じ資格保有者との間では、ある程度共感できる部分があって、信頼して意思疎通することができます。
ニューヨーク州の弁護士資格って、そういう意味で、すごく戦略的に与えられていると思います。外国人が3割も受験するのです。ニューヨーク州弁護士として稼働していない他国の弁護士も、この資格を介して、ニューヨーク州法を理解し、共通の価値観を持つことができます。それにより、アメリカのビックローファームが、他国の法曹資格者を同じファームに取り込むことができているとも言い得ると思います。
私は、日本の法曹資格は、特にアジアの方に取って欲しいなあと思うのです。
司法試験合格者を出せない法科大学院は、いっそ日本人の採用はやめて、いま日本各地の法学研究科に留学している留学生を積極的に勧誘したらどうでしょうかね。
既に中国のローファームは既に日本の規模を越えて大規模化していますが、中国の律師資格は中国人に限定されています。
もしも、中国律師法の国籍要件が外れたならば、中国の律師資格こそアジアの基本ツールになる可能性すらあります。なんせ、既に現在の中国の司法試験ですら、年間の受験者40万人、合格者10万人の試験になっているのです。私も、いま解放されたらもうひとがんばりして受験せざるを得ないと考えています。既に中国の司法試験は別の司法試験が存在している台湾と香港(従前はダメだった)の方には解放されており、動向が気になります。
いま、もし日本の法曹界が動けば、世界でニューヨーク州弁護士資格のようなインパクトを与えることはできなくても、アジアで、一定の意味ある資格にすることはできる可能性があります。これは、500や1000では、言語の壁で無理でしたが、3000くらいになれば、可能性があります。現に昨年の司法修習から、日本で生まれ育っていない外国人が修習を開始しています。
日本の法曹資格を、アジアの共通言語にするという発想は、あってもいいのではないでしょうか。
そのために必要な改革が、基本知識の理解を示す択一試験ではなく、特に外国人にとって難しい論文を多少易しくするというのであれば、私は甘受できるものではないかと思います。