藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

甲子園に行ってきました(広島カープvs阪神タイガースCS二連戦)

 おはようございます。
 いつもの場所で、今度JCAジャーナルに掲載する記事の執筆とか、色々な作業をしていますが、今日午前をゆっくり過ごせるのは、昨日・一昨日の広島カープのお陰です。


チケット購入
 話は先週の水曜日、10月9日まで遡ります。
 22年ぶり(1991年・・・私が高校1年の頃です)にポストシーズン進出が決まり、私も興奮して、この日の午前中の予定を空けて、いまの場所で「待機」してました。はい、ロッピーかネットでクライマックスシリーズ(以下「CS」)の甲子園球場での広島カープ(以下「広島」又は「カープ」)vs阪神タイガース(以下「阪神」)のチケットの購入をチャレンジしようとしていたのです。なにせ22年振りですし、私はコンサートのチケットを買ったこともないので、そもそもどうやって購入するのか良く分かりませんでした。前日夜に初めて「ちけっとぴあ」なるものの会員登録。ネット購入しようと決めたのですが、twitter*1のフォローワーの方に「ネットなんてつながらないから、ロッピーに並んだ方が確率が良い」と聞き、この場所の道を挟んだ反対側のローソンにちょっとお邪魔して機械の前に待機。

 しかし発売開始の数分前なのに、ロッピーの機械には、前日「ぴあ」のネット画面には出ていた発売情報が出ません。慌ててネットで情報を検索すると、なんとロッピーやぴあの店頭販売(これはコンビニ販売を含むそうです)はなく、ネットか電話しかないとのこと・・・。慌てて、「つながらない」ネットをひたすらリロードしながら、チケット購入にトライします。

 すると、30分かかりましたが、あっさりと3度購入画面に進むことに成功。興奮した私は、甲子園レフト指定席を求めて、即座に、1戦目4枚、2戦目6枚、3戦目4枚のチケット購入決済をしました。

写真1 私が買ってしまったチケット14枚・・・。因みに、受け取りは何故か新宿の某セブンイレブン


 しかし、よくよく調べると、このチケットは普通の「レフト指定席」であって、レフトのカープファンの待つビジター応援席は別にあるとのこと。そうかーだからビジター専用の応援席にみんな殺到するし、阪神ファンはきっとライト側をまずは買うだろうから、この「レフト指定席」は買えたんですね。ちょっとだけ納得。


写真2 甲子園球場の座席図。広島vs阪神の場合、ビジター応援席は、この図のABCD席に限られるのですが、これはCSでも同じでした。


 ということは、レフト指定席というのは、ビジター応援席ではないレフトスタンドの席(上の図ではEと記載された席とレフト外野席の両方がレフト指定席)を指すことになります。しかし、甲子園球場に行ったことのある方ならばおわかりだと思いますが、通常、ビジター応援席と三塁側アルプス席以外にカープファンは殆どいないのです。そんな席を焦って14枚も買ってしまった・・・。試合に対するモチベーションは下がります。しかも、14枚も買ったのに、僕は誰とも行く約束をしていなかったのです・・・。


第1戦
 
 しかし、ともかく、1戦目はエース前田健太の先発ですし、広島ファンとしては行くしかありません。阪神ファンに囲まれようが、どやされようが、広島を応援する以外に選択肢はありません。生きて帰られるかどうか不安に思い、自筆式遺言を残すべきかどうか悩みましたが、取りあえず、一緒に行ってくれる相手もみつかりましたし、甲子園球場に重い足を運ぶしかありませんでした。

 ところが、野球場に着いてみると・・・。


写真3、4 ビジター応援席以外にも、カープファンがうじょうじょ・・・三塁側・レフトスタンドを占拠している!!!


 いや、恐らく歴史上初めて、甲子園球場で赤く染まった日が、2013年10月12日だったのではないでしょうか。初めてカープファンが三塁側、レフトスタンドを占拠している姿を見ました。この歴史的瞬間に立ち会えて、興奮がおさまりません。生まれてから広島に住んでいた18年間は、強いカープしか知りませんでしたが、弱いカープになってから約20年、そんな弱いカープを応援するために、甲子園にこんなに人が集まるなんて・・・。野村監督や選手が、勝った理由の1つにこの応援を挙げたのも、首肯できます。

 1戦目の私が座った位置は、レフトスタンドでもかなりバックスクリーン寄り、つまりはライトの阪神応援団に近い席ですので、特にライト指定席を買えなかった阪神ファンに囲まれると思ったのですが、そんな場所でも、カープファンの方が多かったのです。


 カープのピッチャー、前田健太は、正直ストレートは走っていたと思いますが、変化球の切れは今ひとつに見えました。しかし、カープの主砲・キラが5回にスリーランホームランを打った後は、カープに明らかな勢いがあり、あっさりと8−1で勝利した感じがしました。


 この勝利の時点では、まだ2戦目の6枚のチケットに空きがあり、私自身も業務を考えると2戦目も見に行って良いものか迷ったのですが、カープファンの心を動かす快勝のお陰か、あの甲子園球場の赤く染まった景色に心を動かされたのか、チケット欲しいと言ってくれる人もいて、私は、5人と一緒に13日も甲子園に行くことにしました。


第2戦

 第二戦は、少しだけ赤色に黄色が混じる割合が多くなっていました。やはりみんな、前田健太では勝っても、第二戦、第三戦までは半信半疑だった、ということでしょうか。しかし、私の席はかなりレフト線寄りになったので、周囲のカープファン割合はほぼ9割にまで高まりまして、すごく興奮です。

 カープの先発はバリントン阪神の先発はメッセンジャーでした。正直能美ではないか、左腕に弱いカープは能美だと打てない・・・という印象がありました(メッセンジャーにもカープは抑えられているのですが、勝ち負けで言えばカープの3勝1敗でした。)ので、阪神の和田監督は、カープにはエースをぶつけずに巨人戦の第一戦に温存する戦略でも採っているのか、ちょっと良く分からない采配だなあと思いました。

 
 初回、西岡のホームランは残念でしたが、1点ならまだ流れはカープだと思いました。しかし、2回の、ランナー一塁での大きなレフトへの大きな大きな当たり、レフトは守備の苦手なエルドレッドですし、完全に抜けた、いや、ホームランで2点追加で阪神への流れになると思いました。

 しかし、どうもエルドレッドは捕ったようでした。僕らのいた場所からは捕った事実は確認できませんでしたが、とにかく一塁ランナーは飛び出して三塁付近まで来ていましたので、併殺打になってチェンジです。以後は、バリントンの調子も良くなり、負けているのに安心して見てられた気がします。


 結局、5回以後、小刻みに得点を重ねて、8回、9回に失点したものの、7−4でカープが勝ちました。CSファーストステージ、連勝で突破です!

写真5,6 スコアボードとレフトスタンド


 その後、カープの監督・選手ら全員が、グランドに現れて、三塁側・レフトスタンド側に挨拶に来ました。僅かな時間でしたが、甲子園でこんな光景を見ることは初めてです。

写真7,8,9 挨拶に出たカープナイン



 選手監督の頑張りが第一ですが、しかし、カープファンが大挙して甲子園に現れたから、起きた勝利と、この雰囲気だったような気がしてなりません。本当に、甲子園なのに、アウェイという気分がありませんでした。


おわりに・・・
 東京ドームは、東京にいる予定はあるのですが、チケットの目途もありませんし、多分行けないでしょう。でも、この雰囲気を維持、発展させて、強敵巨人に立ち向かってくれるような気がしています。戦略的に見ても、今日の試合がなくなったために、今日先発の予定だったと思われる大竹投手が、恐らく巨人戦の1戦目か2戦目に先発できることになって、そのもう1試合が野村投手、3試合目に中5日で前田健太、4試合目にバリントン(この3戦目、4戦目は入れ替わりがあるかもしれませんね)となって、大事な6試合の最初の4試合にカープの主力投手を投入できます。6試合休みなしの連戦ですので、5試合目、6試合目の先発がどうなるのか、分かりませんが、挑戦者であるカープの場合は、1戦分の不戦敗があるので、3回負けたらもう終わりですから、まず1戦1戦、トーナメントのように負けない試合をするのが大事ですので、今日の試合がなくなったことの効果は大きいと思います。

 個人的にも、今日のチケットの払い戻しが受けられますし、何より、時間ができたので、業務もできます。行って騒いだけど業務にしわ寄せが・・・というのでは、ダメですから、今からしっかり仕事したいと思います。


 とにかく、興奮した2日間でした。駄文に付き合って下さり、ありがとうございました。そして、東京ドームに行ける幸運なカープファンの皆さん、甲子園ほど良い雰囲気で勝てるかどうかは分かりませんが、カープの選手は、意外とファンの雰囲気で頑張ったりできるんじゃないか、そう感じましたので、是非不利でも負けていても諦めずに、選手を鼓舞してあげて欲しいです。


 うまくこの興奮のバトンを、東京ドームの選手達と、広島ファンにお渡ししたい、そう思っています、日本シリーズズムスタで開催されることを祈って・・・。

*1:因みに私のtwitterのidはifujimotoです。

「法曹不人気」報道は正当か?


 明日9月10日、司法試験は合格発表です。
 しかしここ数年、司法試験に合格して法曹を志願する人は大きく減っています。


 例えば、今年の司法試験は、10,315人が出願し,実際に授権したのは7,653人でした。これをここ数年で比較しますと・・・


表1:司法試験出願者・受験者数の推移

出願者受験者
201310,3157,653
201211,2658,387
201111,8918,765
201011,1278,163
20099,7347,392
(出典:http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00026.html

となります。  ナンだ、余り減っていないじゃないか?と思われるかもしれませんが、現在の司法試験は2006年にまず既習者(2年コース)のみでスタートし、2007年に初めての未修者(3年コース)が受験し始めた試験です。不合格者は5年で3回まで受験できますので、当初の数年は不合格者が2度、3度と受験する結果として当然に出願者・受験者が増大します。そんな中で、2年連続大きく出願者・受験者が減少したのは、やはり大きなことなのです。  更に、現在の司法試験は、予備試験合格者を除いては法科大学院を卒業しなければ受験資格が得られませんが、法科大学院の不人気は、更にすさまじいものがあります。 表2:法科大学院入試出願者・受験者・入学者数の推移

入学年出願者受験者入学者数
201313,92412,3892,698
201218,44616,5193,150
201122,97220,4973,620
201024,01421,3194,122
200929,71425,8044,844
(出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/05/13/1334787_07_1.pdf

 法科大学院に入学した2〜3年後に司法試験初受験になるのが通常ですので、この5年で出願者が半分以下、入学者も5割強まで減った影響は今年はまだ限定的で、これから数年後に強く表れることになります。実際、法科大学院で教えていて、学生が変わったなあ・・・と感じることは少なくありません。  このような法科大学院不人気・法曹不人気は、私が感じる限り、これをサポートする報道によって生まれたように思います。  確かに、司法制度改革の中で、弁護士数は増大しました。私が弁護士登録をした2001年、18,000人程度であった我が国の弁護士総数は、司法試験合格者数の増大にあわせて、2012年には32,000人程度まで増大しています。当然、弁護士間の競争は激化していると言えます。そして、一部には、「弁護士の年収200万円」といった刺激的な報道もされています(例えば、http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130906-00500007-sspa-soci)。    ただ、各種報道は、面白おかしくされている面が少なくありません。裁判の件数が増えていないことも報道されていますが、しかし法曹の役割は裁判の件数のみで測れるものではなく、その役割そのものは、2001年と比較してもむしろ拡大していますし(例えば、刑事弁護における裁判員裁判の導入、被疑者国選弁護制度の導入。私の専門とする渉外(国際)弁護士業務の拡大。)、例えば「リーガルハイ」等、テレビドラマで法曹が扱われることも増え、昔よりも若干は身近な存在になっていると思います。競争で厳しい弁護士がいるのは事実でしょうし、実際弁護士事務所の経営難で横領した弁護士が逮捕される事例も報道されていますが、しかし、どの世界にも競争があるのが普通・普遍であり、全体から見れば、「美味しい」思いをすることは少なくなったとしても、法曹の業務自体のやり甲斐や、需要・期待が減少したとは言えないと思います。  気がかりなのは、法曹の不人気により何が人気になったかという学生の動向です。ある大学では、法曹志願者減がそのまま国家・地方公務員の志願者増につながっているそうです。公務員も大事な仕事ですし、これを悪く言うつもりはありませんが、こういう安全志向では、世界的な競争に曝されているこの国を守り・勝ち抜くように育てていくことはできないでしょう。  もっと、本質的な仕事の楽しみや、やり甲斐などで学生が志望先を選ぶようにして貰いたいし、そういう報道が欲しいです。原発事故や、健康被害で「安全志向」になるのは結構ですが、職業についてまで皆が「安全志向」になってしまったら、この国はむしろ大いに「危険」な国になってしまいかねません。  法曹の仕事は、様々なネガティブな報道にもかかわらず、とても楽しくやり甲斐のある仕事ですし、その期待は増大しています。実際私がそう感じて業務ができている訳で、もっと多くの方に志願して貰いたいなあ、そう思う次第です。

まもなく司法試験合格発表と合格者への事務所説明会

 時代は流れても、司法試験合格発表は気になるものです。
 私が合格した1999年からはや14年も経過していますが、今でもあのときのことは良く覚えています。


 最近は、合格後の修習の申込みの締切が急(なんと、10日に発表で、修習に行くには17日までに必要書類を揃えて申込みをしなければならない)で、本当に慌ただしいのですが、もしも良かったら、合格発表後に、当事務所(弁護士法人淀屋橋・山上合同)も、合格者説明会を開催しますので、お申し込み頂ければと思います。

 http://www.yglpc.com/

 申込みは9月10日から受付する予定です。なお、説明会は、9月26日と10月1日の二日程を予定しています。フレッシュな合格者にお会いできるのを楽しみにしています。

民主党の支持層と実態の乖離


 僕は、正直に言って民主党という政党を良く知らない。
 党内に、一緒に飲みに行った国会議員さんや、ゼミの先輩の国会議員さんや、高校の先輩の浪人中の元議員さんやら、いる。ただ、全体は良く分からない。決して、今の民主党を支持している訳ではない。特に、原発事故に伴う食の安全や広域処理については、自民党ではなく民主党が与党であったのに、こんな対応しかしなかったことについて、大いに失望している。


 でも1つ思うことがある。民主党に対するコアな支持層は、基本的に「センターレフト」だと言うこと。参議院比例区で、民主党の当選者上位は、労組系の候補者が占めた。これもその証拠の1つ。


 ところが、今の民主党の執行部は、どちらかというと「センターライト」を志向しているように見えるということ。海江田さんも、細野さんも、労組出身じゃないもんね。


 確かにウイングを広げるのは大事だ。戦える野党、政権交代を担える勢力になるのも大事だ。センターライトを取り込まなければ、政権の再奪取はないだろう。でも、いま、党勢を回復するには、コアな支持層の周辺から少しずつ「取り戻す」ことが大事なんじゃないだろうか。


 いま、既に党を去った鳩山氏や、直前で公認取消をやらかした候補を応援した菅氏に対し処分をすると言う。しかし、彼らは、人気もなくなってきたとはいえ、どちらかと言えば、本来の民主党のコアな支持層に支えられてきた、コアな支持層が嫌わない、党の顔だ。これ以上、コアな支持層を痛めつけ、党内の論理に拘ることに、どれだけのメリットがあるのだろう。単に、そういった方に「やっぱり共産党かな」「みんなの党の方が良い」と思わせるだけな気がしてならない。


 国民が民主党に期待していることは、民主党そのものの再生ではない。勿論、それが可能であれば、それを期待する人もいるだろう。しかし、多くの選挙で辛い思いをした人からすれば、自民党に代わる選択肢を用意すること、これを期待しているのだ。それは、何も、民主党という名前ではなくても構わない。党内の足きりを期待しているのではなく、いかに対抗勢力を作り上げていくか、皆それを期待している。


 菅氏や鳩山氏の処分をするヒマがあったら、渡辺さんでも、江田さんでも、橋下さんでも良い、彼らだって対抗勢力の構築を望んでいるのだから、その話をつけてきて欲しい。まあ、橋下さんとは、憲法や国家論で一致をみないだろうが、しかし、橋下さんは現実主義者だ。意外と、それでうまくいくと思えば、豹変する可能性はある。


 民主党という政党内部の論理に、いまの民主党執行部が縛られている気がしてならない。そして、それは民主党を支持する方の望む方向とは逆方向に行こうとしている気がしてならない。大事な時間を、内向きな、間違った議論に使わないで欲しい。

日本の右傾化とネット新聞の有料化


 ネットで記事を検索しようとすると、アサヒコム(朝日新聞社)や、日経新聞が出て来るのですが、冒頭部分のみで、「この先は有料」とすぐなるのです。ネット新聞の有料化がじわじわ進んでいます。


 ところが、全て無料で読めるネット新聞があります。
 産経新聞MSN産経ニュース)です。


 このためか、アプリ等が自動収集するニュースも、産経新聞発信のものが多くなっているように感じます。私が普段使っているiPhoneのアプリSmartNewsでも、よんななニュース、NHKオンラインと並んで、MSN産経ニュースがソースである割合が高いように感じます。


 MSN産経ニュースを直接読もうと思っていなくても、ポータルサイトやアプリから、MSN産経ニュースを読んでしまう。こういうことが増えているように感じています。


 いま、憲法改正議論等でも、日本が全体的に右傾化していることが言われます。これが良いことか、悪いことかはさておき、比較的部数も多い「勝ち組」の新聞社が記事を一部有料化しているうちに、無料で読める新聞社が、日本人の心を少しずつ変えている可能性、あるのではないでしょうか。

センター試験廃止と到達度テストは日本を救わない。


日経新聞電子版2013年6月6日付
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0505N_V00C13A6MM8000/

 文部科学省は5日、大学入試センター試験を5年後をメドに廃止し、高校在学中に複数回受けられる全国統一試験「到達度テスト」(仮称)を創設して大学入試に活用する検討を始めた。大学志願者の学ぶ意欲を引き出すことで高等教育の質を高め、国際社会で活躍するグローバル人材の育成につなげる。1979年に始まった共通1次試験以降、1回の共通テストが合否を左右していた大学入試が抜本的に変わることになる。


 これによって生じる結果は、大学受験の早熟化です。
 これは何を意味するかと言えば、中高一貫校を中心として、受験を早期に準備した高校2年生は、沢山の良い得点を取るチャンスを得て、他方で、3年3学期の試験前日に「やっと試験範囲終わった」なんて言っている普通の高校は、初期に「到達度テスト」を受験する時点では受験対策は殆どおぼつかず、今まで以上に大学入試で苦戦する・・・こういう姿が目に浮かびます。


 そういったますますの格差社会と、ますますの早熟化が、我が国の発展に不可欠だとすれば、ずっっと公立校出身の私も受け入れなければならないのかもしれません。しかしそうは思えません。第一に、この制度なら中高一貫校が益々有利になりますので、中学入試を目指す者がかなり有利になります。しかし、中学入試を目指すか否かは、親の資力や意思といった、本人の能力とは関係のない要素に左右されます。少なくとも、中学入試を目指す者が優秀で、そうでない者が優秀ではないなんてこれっぽっちも思いません。


 私自身も、普通の公立高校3年で一念発起して、それなりにそこからのリカバリーができたつもりですが、この制度変更案では、高校3年の時点では既に「到達度テスト」が始まっていますので、新制度後は、私は「遅すぎた一念発起」だった、となってしまいかねません。


 そもそも、社会人として役に立つとか、優秀といったものは、中学入試なんかでは全く測れないと思います。中学入試を目指すか否かは繰り返しますが親のエゴです。こんな制度である集団を入試で有利に扱い、ある集団を不利に扱うなんて、単に格差社会を進めたいだけとしか思えません。そして、その後の逆転の機会を小さくすれば、ある時点で一念発起して頑張ろうという意思を生まなくなってしまいます。これでは、日本の活力を奪ってしまいます。


 日本の活力は、いつでも相当な努力すれば、色々とチャレンジすることが可能な社会制度とすることでなければ生まれないと思います。しかし今回の制度変更は、そういったチャレンジを奪うか、少なくとも小さくしかねません。こんな制度変更はやめるべきです。

中国法研究会

 当職主催の中国法研究会を下記日程で開催します。

 2013年6月7日(金)午後6時30分〜
 テーマ「日中間における消費貸借上の問題点」
 発表者:仲井晃(弁護士法人淀屋橋・山上合同 弁護士)
 趣旨:本年5月の外貨管理の規則改正を踏まえ、日中間の金銭消費貸借における問題点を概括する。

 対象:中国法に関心ある実務家、法律研究者、中国からの留学生を含む学生

 なお、終了後に懇親会を予定しております。


 ご関心のある方は、当職(藤本 twitter @ifujimoto)までご一報下さい。