センター試験廃止と到達度テストは日本を救わない。


日経新聞電子版2013年6月6日付
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0505N_V00C13A6MM8000/

 文部科学省は5日、大学入試センター試験を5年後をメドに廃止し、高校在学中に複数回受けられる全国統一試験「到達度テスト」(仮称)を創設して大学入試に活用する検討を始めた。大学志願者の学ぶ意欲を引き出すことで高等教育の質を高め、国際社会で活躍するグローバル人材の育成につなげる。1979年に始まった共通1次試験以降、1回の共通テストが合否を左右していた大学入試が抜本的に変わることになる。


 これによって生じる結果は、大学受験の早熟化です。
 これは何を意味するかと言えば、中高一貫校を中心として、受験を早期に準備した高校2年生は、沢山の良い得点を取るチャンスを得て、他方で、3年3学期の試験前日に「やっと試験範囲終わった」なんて言っている普通の高校は、初期に「到達度テスト」を受験する時点では受験対策は殆どおぼつかず、今まで以上に大学入試で苦戦する・・・こういう姿が目に浮かびます。


 そういったますますの格差社会と、ますますの早熟化が、我が国の発展に不可欠だとすれば、ずっっと公立校出身の私も受け入れなければならないのかもしれません。しかしそうは思えません。第一に、この制度なら中高一貫校が益々有利になりますので、中学入試を目指す者がかなり有利になります。しかし、中学入試を目指すか否かは、親の資力や意思といった、本人の能力とは関係のない要素に左右されます。少なくとも、中学入試を目指す者が優秀で、そうでない者が優秀ではないなんてこれっぽっちも思いません。


 私自身も、普通の公立高校3年で一念発起して、それなりにそこからのリカバリーができたつもりですが、この制度変更案では、高校3年の時点では既に「到達度テスト」が始まっていますので、新制度後は、私は「遅すぎた一念発起」だった、となってしまいかねません。


 そもそも、社会人として役に立つとか、優秀といったものは、中学入試なんかでは全く測れないと思います。中学入試を目指すか否かは繰り返しますが親のエゴです。こんな制度である集団を入試で有利に扱い、ある集団を不利に扱うなんて、単に格差社会を進めたいだけとしか思えません。そして、その後の逆転の機会を小さくすれば、ある時点で一念発起して頑張ろうという意思を生まなくなってしまいます。これでは、日本の活力を奪ってしまいます。


 日本の活力は、いつでも相当な努力すれば、色々とチャレンジすることが可能な社会制度とすることでなければ生まれないと思います。しかし今回の制度変更は、そういったチャレンジを奪うか、少なくとも小さくしかねません。こんな制度変更はやめるべきです。