藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

ある弁護士に会いました!


 誰とは言えない、いや、言っても問題ないのかもしれませんが、今夜、事件とは全く関係なく、ある弁護士に会ってきました。中国で、というよりは、私の生き方の参考になるかもしれないと言う意味で、お会いするのがとても楽しみだった方です。


 私、初対面の方とお話しする際に、「ああ・・・無駄なこと話しすぎたかなあ・・・」と、悔いることが多いのですが、今夜もご多分に漏れず、喋り尽くしてきてしまいました・・・。


 会話の内容は色々でしたが感想を少し書きます。一言でいえば、いつも思うことではありますが、弁護士事務所を「良くする」というのはとても難しいことだなあ、と思いました。


 最近、若い修習生は、法科大学院の際の教育ローンがあるためか、弁護士の初任給を気にするそうですが、高いと喜ぶらしいですね。しかし、自分の給料が高いということは、逆に言えば、その事務所のパートナーになる際は、高いお金を払ってアソシエイト等を雇わないといけない訳で、高い売上を上げないと事務所が回らない、ということを意味します。ということは、好きな事件、小さな事件をやることができないということで、自然とディールの大きなプロジェクトしかできない、という流れになる訳です。弁護士1人あたり上げなければいけない売上というものも、個人でやっていれば年間1000万円でもなんとか食べていけるかもしれませんが、外資だと、弁護士1人あたり年間1億円程度は上げていかないといけない、ということになってしまいます。


 私は、いち弁護士として知的好奇心旺盛だと思いますし、また、社会に対し(「分解」すれば個々のクライアントに対し)貢献をしたいという思いもあると思います。他方で、弁護士1人でできることは限られますので、色々な知的好奇心を満たし、また様々なクライアントに貢献するため、良いチームを編制していきたいという思いがあります。しかし、そのチームのありかたは、とても難しい。知的好奇心を満たす事件が来ないのは困る。優秀な人材の中で仕事がしたい。でも、だからといって、売上だけを考えるのは私には難しい。私にとって債務整理も刑事弁護も、特許訴訟もM&Aの案件も、それぞれ楽しいのです。もっといえば、私個人で全部は無理でも、私のチームで何でもできるから楽しいのだと思います。でもでも、いまの日本チームが本当に何でもやっている訳ではなくて、例えば実際に上海にまだオフィスはない訳です。何でもできるような事務所にしようと思って大きく展開するには売上が必要なんですが、売上を意識する特定の事件以外何もできなくなった、というのでは困る。でも、いまやっていることだけしかできないというのも、困ります。新しいことを開拓するというのは、知的好奇心を満たすもっとも有力なやり方ですし。。。


 贅沢かなあ・・・。
 ちょっと意味不明な文書かもしれませんが、そんなことを考えながら、まるで頭の中で弁護士業界版「ベストプレーベースボール」*1でもやっている気分です。

*1:おそらく日本初の野球シミュレーションゲーム。野球ゲームだが、打ったり投げたりしない。データを編集してチームを作成し、オーナー・監督業を楽しむゲーム。