命がけ。。。
讀賣新聞電子版2007年9月10日付
【大阪の弁護士事務所で女性事務員変死、殺害か…大量の血痕】
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070910i312.htm
10日午後2時50分ごろ、大阪市中央区内平野町2の弁護士事務所内で、女性事務員(68)が血を流して倒れているのを、同事務所の上田潤二郎弁護士(78)が発見、110番通報した。
床には大量の血痕が飛び散っており、女性はゴミ箱に頭を突っ込んだ状態ですでに死亡していた。大阪府警捜査1課と東署は殺害された可能性が高いとみて捜査を始めた。
んー、怖い。大阪弁護士会登録弁護士としては、まったく人ごとではありません。
しかし、弁護士が怖いからといって、暴力におびえるようになってはおしまいです。勿論、妙な依頼は断る、無理な事件処理をしない、公と私を峻別し私(家族を含む他人)を巻き込まない、等々、十分な対策をしなければいけませんが、その上で、一定の不幸がふりかかるのは、警察官や消防士とある意味似ています。
この件の裏に何があるのか分かりませんが、社会の公平・公正らしさを守るというのは、とても難しいことです。絶対の正義なんてない。ただ、我々が頑張ることが、いずれにせよ、公平・公正に近づいていくのだ、ということを、理解して貰えると嬉しいのですが・・・。
この点について、橋下弁護士と、広島弁護士会のバトルがいま話題になっていますが、違法かどうかという問題は別にしても、橋下弁護士の発言は、刑事弁護で公平・公正を擁護する弁護士の使命に対し余りに無理解ではないかという気がします。刑事被告人に対し、最大限の弁護を弁護人が提供することは、弁護士が悪い人を手助けしているのではないわけです。そもそも、絶対に悪い悪魔のような人はいない訳で、事件にも、程度の大小はありますが、良い面と悪い面がある訳です。その両方が最大限裁判で顕出されて、良い点も悪い点も全部裁判所が見ることが出来て初めて、公平・公正な裁判ができるというもの。被告人に有利な点が十分主張されていなかったとすれば、弁護人が主張するのは、例え極悪非道な被告人であっても当然です。そうじゃないと、仮にその被告人が死刑になるときに、正当化できないじゃないですか*1。だって、全ての被告人に有利な点を酌んでもなお死刑にせざるを得ない、という時でないと、死刑は正当化できない、と思いませんか?裁判では論点になってない別の事情が存在したら死刑は回避できたのに、それを論じていなかった・・・っていう裁判は、死刑判決の正当性を奪ってしまいませんか??
あなたなら、それが欠けていても死刑執行のボタンを押せますか?
ちょっと話が逸れましたが、弁護士の命がけの活動に、暖かい目を向けてやって貰えますと幸いです。
*1:私は死刑制度を疑問視する1人ですが、その点はいまは置いておきます