藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

会社分割あれこれ(1)


 会社分割という法的技術は、ホント面白いですよね。
 色々な規模の会社、色々な事情の会社で、楽しく活用することができます。
 我が国ではたった8年しか歴史のない制度ですが、すっかり実務に定着したという感があります。


 ちなみに、中国語(中国会社法)では、「会社分立」と言います。ついでに、英語では、これに相当する術語はありません。米国各州の会社法には、"Merger"や"Aquisition"、或いは"Reorganization"に関する規定はあっても、"Company split"(日本の会社法の「会社分割」に付された英訳)に相当する規定はありません。


 ということで、日米会社分割比較は難しいので、日中比較でも致しましょう。
 

 まず、中国の場合は、会社分割に関するルールがどっちになるのか、というのが問題になります。
 即ち、現在の2005年改正の中国「会社法」(2006年1月1日施行)施行前にできた「外商投資企業合併と分割に関する規定」が全面的に適用されるのか、それとも、これと「会社法」の規定が矛盾する部分については、会社法によってこの「規定」が修正されたと解釈して部分的に適用するのか、につき、現に地域によって解釈が異なるのです。北京では一般には「規定」が優先、上海では一般には「会社法」が優先して解釈されている(公告回数等)ようです。日本の会社分割には、地方ルールはないですよね。


 更に、日本では会社分割と言えば、分割会社に対し引き続き請求ができる債権者については,例え設立会社に対し請求ができない場合であっても、債権者保護手続が不要である(かかる債権者は異議を述べることができない)訳ですが(人的分割の場合等を除く)、中国では、全ての債権者が、分割会社・設立会社の両方に請求することができる(即ち、分割会社と設立会社は、分割前の債務について連帯責任を負う)という点でも大きく異なり、この規定の相違のせいで、日本の会社分割は現実には中小の会社再建手続(私的/法的倒産処理)に相当活用されているのですが、中国では、会社再建手続の手法として会社分割を用いるという発想は余りないようです。