藤本大学~徒然なるままに(弁護士ぎーちのブログ)

ぎーち(弁護士藤本一郎:個人としては大阪弁護士会所属)のブログです。弁護士法人創知法律事務所(法人は、第二東京弁護士会所属)の代表社員です。東京・大阪・札幌にオフィスを持っています。また教育にも力を入れています。京都大学客員教授・同志社大学客員教授・神戸大学嘱託講師をやっています。英語・中国語・日本語が使えます。実は上場会社の役員とかもやっていますし、ビジネスロイヤーだと認識していますが、同時に、人権派でもあると思っています。要するに、熱い男のつもりです。

何故ボクは弁護士をやっているのか。(3)


 3回シリーズで連休中に書こうと思っていたのですが、なんかアクセス多いなあ、と思ったら、岡口裁判官からトラックバックを頂いていたみたいで、(こんな内容だけに)恐縮です。恐らく長くホームページとブログをやっていますが、初めてですね。第9民事部に係属している事件もない筈なので直接お伝えすることはできませんが、私もPerfume好きです。郷土(広島県)の芸能人ですしねぇ。広島カープお好み焼きと「もみまん」に並ぶ名産になって欲しいものです。


 ちなみに、このタイミングでこんな内容を書こうと思った理由は、(1)で書いたとおり、この何週間若い学生・合格者の方と接する機会が多かったというのもあるのですが、もう1つ、この水曜日15日、大阪弁護士会法曹養成法科大学院協力センター主催の「事前研修」が最終日を迎えまして、最後の午後3時30分から、「懇談会」なるものが予定されています。384名も出席していて(但し「懇親会」は自由参加)どんなんになるのか分かりませんが、具体的ないわゆる「就活」等の質疑の時間ではありませんが、事前研修で出題された問題(これは私は目を通していません)だけではなく、修習生活や大阪での弁護士活動一般について質疑をすることも予定されていると聞いています。私も(もう1つのメーンフィールドである国際委員会をサボって)行こうと思っていますので、まあ、法科大学院生向け、と書いていますが、司法試験合格者にも参考になるかなーなんて思って書いています。


 さて、(1)では、最初の5年の重要性を、(2)では、モチベーション部分を法科大学院時代から養って欲しいということを書きました。今回は、締めくくりとして、弁護士の能力について書こうと思います。


 私はいまでこそゲームをしません(でもきっとやり始めたら無駄に30時間とかやりそうで怖いですが・・・)が、かつて、「三国志」とか「信長の野望」とかをやったものです。これらのゲームに登場する武将には、様々な能力値が設定されています。例えば劉備は人徳が高いとか、諸葛亮は知力が高いとか、張飛は知力とかダメだけど武力はすごいとか、そういう武将たちの個性を組み合わせるとですね、ゲームしやすいように出来ていたと思います。


 弁護士事務所っていうのもですね、こんな個性の溢れる集団でなければいけないと、私は常々思っています。私が50人もいる事務所は私も行きたくありませんが、私とは全然違う人がいる中で、私がいるということに、私の存在意義があると思います。平均点で、全能力が70であるよりは、何かが100で何かが40である方が、事務所の総合力としては良くなると思っています。これは、○○法の知識や経験という、狭い分野に留まりません。例えば、うちの事務所には元東大のゴルフ部長だったり、ギャングスターで甲子園ボールに行ったような体育会系のパワフルな方がいますが、お客様とゴルフとかは、そういう方にお任せして、私は私の道で、お客さんと接すればそれで良いと思っています。私の場合は、こういう「ざっくばらん」とした性格ですので、そういうのが良いと思ってくれる方と仕事できたら、それでいいなあ、と思っています。こんな性格の相違も個性ですね。


 言い換えれば、法律事務所もDiversityが求められていると思います。同じような人間ばかりの集団では、上手く行きません。私は、様々な個性が溢れるような事務所にしたいなあと常々思っています。


 ところが、事務所に来て頂く学生や司法試験合格者の方は、なかなかこの点が分かって頂いていないのか、なかなか「個性」を披露してくれないように感じます。色々な原因があるとは思いますが、法曹の卵なんだから、逆の立場になって考えて貰えたらなあ、なんて思います。


 例えば、私が毎年50名とか70名採用しなければいけない事務所の採用担当だったとします。
 この場合、いかなる能力を重視して採用するでしょうか。
 当然アカデミックさでしょう。成績表、出身大学、年齢、その他客観的数字で優秀な方を次々と声をかけます。それ以外の個性は、50名とか70名も採用すれば、その時点で十分反映されることが予想されます。そして合わない人には、(極端に言えば)事件を振らないというやり方で自主的に辞めて頂きます。個性や相性は二の次でも、十分なのです。そうすることで、採用に要する時間的な手間も省けます。そう、事務所にとっても、採用にかける手間というのは、相当なものです。50名も70名も採用するとなれば尚更でしょう。


 他方、もしも5名とか7名だったらどうでしょうか。
 アカデミックさも引き続き重要ですが、その程度の人数しか採用しないのですから、後から切れば良いという発想はなかなか難しいです。50名や70名採用の際であれば、採用時のポイントとしては重視していなかった部分にも目をやって、採用する必要があります。たとえ5名や7名であっても、履歴書を書いてくれている方の人数はかなりの人数です。成績表、出身大学、年齢だけでは目立たない可能性があります。ただ、その過程を経て採用された方は、おそらくその個性がその事務所とマッチしているでしょう。事務所が要する手間は、下手すると上述の50名、70名を採用する事務所以上かもしれませんが。


 個性の1つに、夢というものもあると思います。
 (2)でも少し述べたとおり、弁護士を目指すにおいて、何らかのモチベーションに支えられているとすれば、そこに何らかの夢が結びついている筈です。弁護士事務所というのは、個々人の夢の集合体であるべきだと思います。自分の夢と、事務所の夢がうまく合体するような事務所を探せるようにするには、自分の入りたい事務所であれば、もっと個性を出して、夢を語ってみたらどうでしょう。その結果、合わない、採用されない事務所なんて、こっちから願い下げ、で良いじゃないですか。そこに行けていたとしても、どうせロクな弁護士人生にはならなかったでしょう。(1)でも述べた通り、最初の5年がイマイチだと後々響くと思います。


 私も、自分の個性を生かし、そのまんま、等身大で弁護士をやっています。
 むしろ、等身大でいられるから、この職業が好きで楽しくて生きていられるのだと思います。
 あんまり周囲に流されずに、自分の個性を生かして個性をアピールして、また、自分のモチベーション部分もアピールして貰って、事務所を見つけて貰えると、きっと、最初の大事な5年が、有意義な5年間になるのではないかなあ・・・と思います。